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銀河を漂うタンザナイト
アスターテ星域会戦B
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つまでも続くのはまずい。何しろ彼のような若輩者の佐官が、数が半減したとはいえ同盟軍主力艦隊の一角である第4艦隊指揮官になってしまったのである。
クロパチェクは今後のことを考えると頭が痛くなった。

(とりあえず、パノフ准将の容態が心配だな。さっき軍医の話だと、出血多量で危険な状態だったらしいが、今は落ち着いているという話だからな…。もっとも予断を許さない容体ではあるが…)

クロパチェクが軍医から聞いた話によると、パノフ准将は重傷ではあるが今のところ一命をとりとめたという。

(それならば、大丈夫だろう……。あとは第2艦隊と合流したら、パノフ准将の容体を確認して、それから……)

クロパチェクが考え込んでいると、通信兵が声をかけてきた。

「臨時司令官殿、第2艦隊司令部より通信が入っております」
「わかった、メインパネルにつないでくれ」
「了解しました」

クロパチェクの言葉を受け通信士はすぐに回線を開いた。するとそこには第2艦隊司令官パエッタ中将と幕僚団の顔が映し出される。

『誰だ貴官は?パストーレ中将はどうした?』

映像の向こう側からパエッタ中将が不機嫌そうな表情を浮かべながら問いかけてくる。その言葉にクロパチェクは敬礼しすぐに返答を行った。

「小官はアラン・クロパチェク大佐であります。閣下、パストーレ中将は戦死したので、私が代理として艦隊を指揮しております」
『なんだと!?』

パエッタは一瞬驚いた顔をしたが、すぐに切り替えたのか冷静な口調で質問してきた。

『では、他の者はどうした?』
「艦隊首脳陣の大半も戦死か重傷を負いしました。唯一指揮の取れたパノフ准将は重傷のため、現在医務室にて手当を受けております」

クロパチェクの報告にパエッタは苦虫をかみつぶしたかのような顔を見せた。

『そうか……。それで、現在は貴官が指揮を執っていると?』
「はい」
『……』
パエッタは黙り込むと、しばし考えた後再び口を開く。
『分かった、今からそっちに行く。それまで艦隊を掌握せよ!』
「はっ、承知しました」

クロパチェクは敬礼を行うと、通信を終了したのだった。

「先輩、第4艦隊が合流するそうですよ」
「そうか……」

ヤンはスクリーンに映った第4艦隊の姿を見ていた。第4艦隊は旗艦リューリクを先頭に第2艦隊と合流するべく移動を開始していた。

「少なくともこれで、少しは楽になりますね」
「そうだな……」

ヤンは後輩であるアッテンボローの発言に相槌を打ちながらスクリーンに映る第4艦隊を見つめていた。

「でも、まだ安心するのは早いぞ」
「それは分かっていますけど、第2艦隊が合流すれば帝国軍に対して優勢になるはずですから、少しはマシになるとは思いませんか?」

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