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とある3年4組の卑怯者
79 活躍
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を心配して周りを取り囲んだ。
「藤木君、大丈夫!?」
 笹山が声をかけた。
「へ、平気さ・・・」
 藤木は球技大会で活躍して置きながらこんな散々な目に遭う己の運の悪さに嘆いた。

 リリィは別の料理を取りに行った後、鹿沼と出会った。
「あ、鹿沼君」
「リリィじゃないか。随分と活躍してたようだね。ウチのクラスが君のプレーを見て凄い女子だったって噂してたよ」
「あ、ありがとう・・・」
 リリィは少し照れた。
「僕ら男子も4組の男子には敵わなったね。連携を崩さずにしようとしていたんだけど、そっちのクラスの長谷川君や大野君に杉山君のプレーはとても凄かったよ。あ、そういえば小杉君が腹減ったとかいう理由で交代した時は少し笑ったよ」
「あ、そういえばそんな事あったかしら・・・」
 リリィは思い出した。確か永沢によると小杉は給食で沢山お代わりをしていたのだが、理由は試合中に空腹になって動けなくなってしまい、藤木と交代したとの事だった。
(藤木君も頑張ってたんだっけ・・・?)
 しかし、今藤木はリリィとは遠い場所にいた。
「あ、もしかして4組の子?」
「凄かったわね!」
 3組の女子達が集まって来た。リリィはチヤホヤされた。

 花輪家の使用人達が床に散らかった料理を片付けていた。
「山田君、少し落ち着けよ」
 山田は本郷に窘められた。
「アハハ、ごめん、ごめん」
 笹山は藤木が気になっていた。
「藤木君、気を取り直しましょうよ」
「うん、そうだね」
「そうだ、あのケーキ食べたら美味しかったわ。藤木君も食べようよ」
「うん、そうだね」
 藤木は笹山が美味しいと言ったケーキを取ろうとした。
「頂き!!」
 小杉が横から体当たりで藤木を突き飛ばし、ケーキをすべてかっさらってしまったのだった。
「ちょっと、小杉君、今の酷いわよ」
「知るかよ、早いもん勝ちだな!!」
 小杉は全く罪悪感を感じていなかった。
「藤木君、他の食べよう」
「そうだね・・・」
 一方、藤木はリリィにも自分の活躍を伝えようと思ったのだが、リリィは他の女子達と喋っているので近づく余裕がなかった。
(リリィとも話がしたいな・・・)
 笹山はそんな藤木の気落ちした顔を見ていた。
(藤木君、もしかして・・・)

 やがて、打ち上げが終了した。リリィは帰る事にした。
(色んな人と話せて楽しかったわ・・・)
 その時、リリィを呼ぶ声がした。
「リリィさん!」
 笹山だった。
「藤木君と一緒にいたんだけど、藤木君は何かリリィさんと喋れなくて寂しくしてたみたいなの」
「そうだったの?私も他の人と喋ってたから近寄れなかったわ」
「そっか、今日じゃなくてもいいから藤木君と話すといいんじゃなかしら?藤木君も喜ぶと思うわよ。それじゃあね」
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