第二十六章 夢でないのなら
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ゃうよの姿勢のまま、倒れた。
かと思うと、ばねのごとく反動で、すぐに上体を起こした。
きょろきょろ、室内を見回す。
「しかしセンスねえデザインの部屋だな、リヒトって」
「だからリヒトとは限らないってば」
「じゃあ、さっきあたしがいった、遥か遠い未来の地球じゃねえの? 実際、こんな見たこともねえ部屋の造りだろ。部屋の外もなんか気持ち悪いしさ」
無数の管を、編み合わせて作ったような壁。
天井からは、植物のような、機械装置のような、得体の知れないものが大量にぶら下がっている。
部屋の中央には、巨大な試験管が逆さに床から突き出している。
そして、この部屋の外は、うねうね曲がり伸びる、チューブの中といった感じの通路。
確かに、SF映画の未来世界のようではある。
要するに、現実感と既知感がない。
「そうだね。……そもそもここは、わたしたちのいた世界なのかな」
「ああ……もしかしたらここが『絶対世界』だったりってこと?」
「ないとは、思うけど」
ないと思うというより、あって欲しくないと思う。
神々の世界が、こんなところだなんて。
世界が滅ぶかも知れないリスクを背負ってまで、くるようなところじゃないだろう。
この外になにがあるのか、知らずにいうのも早いけど。
でも、大丈夫だ。
きっと、「絶対世界」なんかじゃない。
この建物の外は、きっと、わたしたちのよく知る世界だ。
みんなのいる、世界。
わたしたちが守った、世界だ。
たち、といっても、わたしは最後の最後で、とんでもないことをしようとしてしまったのだけど。
アサキは、小さなため息を吐いた。
ベッドから、腰を上げた。
「そろそろ、出ようか。……わたしたちを運んだ人が、目覚めたことに気付いてここへくるかな、とも思っていたけど、そんな気配もないし」
「だな。んじゃあ、ちょっくら探検してみっぺ」
こうして再び二人は、こじ開けた扉を潜り抜け、巨大なチューブ状の中を歩き出したのである。
6
いつ、どうなるか。
誰が、いるのか。
分からないから、必然と歩きは慎重になる。
別段気配らしきものは感じず、そのまま十歩、二十歩、三十歩、四十歩、二人は進む。
「あたしがいたのは、ここだ。造りは、お前のいたとことまったく同じだから、立ち寄る必要もねえだろう」
カズミが親指で差したのは、アサキのいた部屋から、かなりうねうね歩いたところにある扉だ。
どれも同じに見える扉だが、ここだけ手のひら形状に淡く発光している。カズミが魔法で目印を付けたのだろう。
「綺麗に、閉じているね」
アサキがいた部屋の扉は、動作せず、
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