第二十六章 夢でないのなら
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した。
といっても、カズミと違って苦笑いであるが。
「ところでさ、ちょっと気になったんだけど、お前、さっきいた部屋の、どこで目覚めた?」
「え? どこでって」
「ベッドに寝てたとか、素っ裸で宙吊りになってたとか」
「もうこの服装になってて、ベッドで横になっていた」
それが、大切なことなのか?
と、アサキは小首を僅かに傾げた。
「あたしも、ベッドで横になってたっぽいんだけど、身体の下に、なんかごちゃごちゃと、コードみたいなもんがあっただろ? なんだろな、あれ」
「え、なに、それ。あと、カズミちゃんは、床の上で転がってたっていってなかった?」
「いった。たぶんさ、ベッドから転げ落ちて、それで目覚めたんだと思う」
「そうなんだ。わたしは特に、なんにも感じなかったけど」
ごちゃごちゃとした、コードだなんて。
まだ通路を少し歩いただけなので、先ほどの部屋へと引き返してみた。
いわれた以上は、気になってしまって。
強引にこじ開け抜け出た扉を、再び通って中に入ると、確かに、カズミのいった通りであった。
ベッドには、人型の微妙なくぼみがあって、自分はそこに収まるように横になっていたのであるが、そのくぼみには、確かに外れたコートや、プラグの類が無数に存在していたのである。
「さっきは、手で触っても気が付かなかったのに」
まだ肉体の感覚が戻っていなかったのと、ベッドのクッション具合が絶妙であったため、違和感覚えず単なるデコボコであると思ってしまったのだろう。
「なんだろう。計測、されていた? それとも、なにか他の目的のものかな……」
「知らねえけど、親切な誰かがそっと運んで寝かせてくれた、とか、そういう話じゃあねえってことだろうな。少なくとも」
カズミは、先ほどまでアサキの寝ていたベッドに、どかっと腰を下ろした。
腕を組み、片膝に足を乗せた。
5
「ここも、リヒトの研究所なんじゃねえの?」
薄桃色シャツに、デニムのミニスカート、茶髪ポニーテールの少女が、ベッドに腰を掛けている。
カズミである。
ミニスカートだというのに、構わず持ち上げた片足首を反対の膝に乗っけているものだから、さっきから前に立つアサキは顔を赤らめそわそわしている。
見えてしまいそうなのが、気になって気になって。
カズミは、そんなアサキの態度に、ようやく気が付いたようで、
「べっつに誰もいねえんだからあ。お前もくつろいで、普段みたくガバッて股アおっぴろげて座りゃいいだろ」
「嫌だよ。というか、普段もなにも、やったことないよそんな座り方」
もう。
小声でいいながら、アサキもすぐ隣に腰を下ろした。
膝丈タータンチェックの、プリーツスカート姿
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