情報収集
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どんどんエスカレートしていく狂三を、ハルトは引き剥がした。
「きひひひひひひっ」
ハルトに引き離された狂三は、次に響に語り掛ける。
「驚きましたわね。ウィザード。それにランサー。戦わない選択をする方々は、たとえ化け物と相手でも手を組むということでしょうか?」
「それは……」
「何もおかしくないよッ!」
だが、ハルトが言葉を探している間に、響が割って入る。
「そうだよ。狂三ちゃんが言う通り、アンチ君は人間じゃないかもしれない。でもッ! だとしても、手を取り合うことはできるッ! あなたとだってッ!」
「本当にうざったいですわ、ランサー」
不快感を露わにした狂三は、響の手へ銃口を押し当てた。
体を硬直させた響へ、狂三は金色の左目を大きく見開いた。
「ッ!」
「人間は、自らとは異なる存在を恐れるのでしょう?」
「だとしても……わたしは、そんなことはないって言い張りたい。わたしは、誰であっても……狂三ちゃん。あなたとも手を繋ぎたい」
「綺麗ごとを……! 言いましたわよね? わたくしの願いは、この世界では叶えられない。他に選択肢はないのですから」
狂三はケタケタと笑い出す。
しばらく狂三を見上げていたアンチは、やがて問いただす。
「俺は、ムーンキャンサーを探している」
「ええ。さっき聞きましたわ」
「お前は、知らないのか?」
アンチの問いに、狂三は首を振る。
「いいえ。心当たりなんてありませんわ。全く」
目を細めた狂三。
アンチは落ち込んだようで、顔を俯かせた。ほとんど表情が変わらないが、彼の目が、もっと探さないとと語っている。
「ねえ、本当にムーンキャンサーって何か聞いていないの? ほら、こんな形のモノとか。俺たちも手伝いたいんだけど、何かが分からないと難しいよ」
「分からない……」
ハルトの問いにも、アンチは首を振る。
すると、狂三はアンチの前に屈みこんだ。アンチの前髪をかき上げ、自らも前髪を上げた。
彼女はその金色の眼でアンチの目を覗き込む。そして、アンチの額に、銃に見立てた指を当てた。
「お、おい……」
「きひひっ、ご安心を。参加者でない者に手を上げるつもりはありませんわ。邪魔をしない限りは」
狂三はそのまま、小声でそれを唱えた。
「刻々帝・一〇の弾」
「……?」
ザフキエル。
彼女が能力を使うたびに、その名称を唱えていた。だが今回は生身で、しかも自らの指を使って能力を発動させている。あの時計の霊体さえ出現していない。
どんな効果が表れているのか、ハルトと響にはさっぱりわからない。当のアンチも狂三の指を見上げてポカンとしている。
だが、ただ一人。狂三は、や
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