暁 〜小説投稿サイト〜
銀河を漂うタンザナイト
アスターテ星域会戦A
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時的に勢いを削がれてしまう。

「閣下、今が好機です。あのポイントに全火力を叩きめば完全に突破できます」
「よし、今だ!全軍、一斉射撃!!」

パノフの号令の元、同盟軍の第4艦隊は再び火力を叩き付けるべく帝国軍に向けて突進した。それに対して帝国軍は何とか応戦しようとするが、帝国軍の艦隊運動は同盟軍に比べてやや拙劣であり、その動きは完全に鈍りつつあった。更に帝国軍フォーゲル分艦隊にとって不運なことに分艦隊旗艦バッツマンに砲撃が命中し、司令官であるフォーゲル中将が戦死してしまった。その結果、フォーゲル分艦隊は組織的抵抗能力を失ってしまった。

「よし、今だ!全艦、前進せよ!」
「はい、閣下!」

パノフの号令の下、同盟軍は最後の攻勢に出る。そして、ついに帝国軍の包囲網を突破することに成功した。

「友軍残存艦艇9割近くが離脱に成功、残るは我々だけです!」
「よし、これで我々は自由の身となった。後は我々が撤退するだけだ。ランチャーに残ったミサイルを打ち尽くせ!撃ちまくって敵を混乱させるんだ!」

パノフはそう叫ぶと、自らも座上艦リューリクの主砲を撃ち放った。同盟軍のミサイル攻撃は帝国軍に大きな損害を与えたが、それでも帝国軍は粘り強く反撃を行い、同盟軍の離脱を食い止めようとした。しかし、ミサイル攻撃によって元々乱れていた隊列が、更に乱れていたことに加えて、同盟軍の執拗な攻撃により、徐々に後退を余儀なくされた。
一方、同盟軍も無傷という訳にはいかなかった。多くの艦艇が被弾し、損害を被っていた。そして何より損害を受けたのが、最後まで踏みとどまって味方の離脱を掩護したパノフ准将麾下の直卒部隊60隻だった。

「あとは我々だけだ、わが艦も後退、離脱するぞ」

パノフは部下たちに命令すると、自身も旗艦とともに後退しようとしたが…。

「敵弾来ます!」
「回避!」
「ダメです、間に合いません!」

パノフの部下たちはそう叫んだ瞬間、リューリクの船体中央部に1発のウラン238弾が命中。船体を大きな振動が襲った。

「アグゥ!!」

クロパチェクは苦痛の表情を浮かべると共に、形容しがたい悲鳴を上げてシートから放り出される。そして、そのまま床に叩き付けられた。

「…痛ッ!」

右手の薬指と小指あたりから激烈な痛みが伝わってきた。反射的に視線を向けると、そこには鮮血に染まり指が2本なくなっている自分の手と床に落ちた薬指があった。

(これは、まずいな)

彼は激痛の中で一瞬だけ冷静に考えると、ハンカチで傷口を覆った。そして、とっさの判断でオペレーターに命令を下す。

「ダメージコントロール急げ、負傷者を後送しろ!」
「はっ、了解です」
(って、本来ならこれは艦長の仕事だったな)

クロパチェクは苦
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