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銀河を漂うタンザナイト
アスターテ星域会戦A
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アスターテ星域 自由惑星同盟軍第4艦隊旗艦レオニダス 艦橋

「くそっ、一体どうなっているんだ?誰か報告せよ!」

クロパチェクは悪態をつくと、状況を確認すべく艦橋内で声を張り上げたが、弱弱しい返事が一つ二つ帰ってきただけだった。

「だめだ、みんな死んでるのか……」
「うぅ…」
「おい、大丈夫か?しっかりするんだ」
「あ、ありがとうございます。助かりました」
「礼なら後で良い。それより状況を教えてくれ。いったい何があった?」
「は、はい、それが……」

艦橋内にあった非常用電源によって最低限の照明が確保されていたが、そのせいもあってか視界が悪く、また艦内の状況も混乱を極めていたこともあり、クロパチュクはなかなか事態を把握することができなかった。そのためクロパチェクは近くにいた士官の話を聞き終えるまで、少なくない時間を要した。

「幕僚団だけでなく艦隊司令官のパストーレ閣下まで戦死されただと…」
「一応確認できただけで1,2人ほど生き残っていますが、状況が状況ですのでちゃんとした確認ができていないのです」
「ふむ、まあいい。それで他の生存者はどこにいるんだ?」
「はっ、現在艦内に残っていた生存可能な人員を艦内の各部署に配置しています」
「そうか……分かった」

クロパチェクはその話を聞いて、一瞬目を閉じた後に再び口を開いた。

「残念だが、この船は放棄する。総員退艦命令を発令したい。艦内放送用マイクはどこにある」
「はっ、こちらです」
「そうか、助かる」

クロパチェクは士官から渡されたマイクを受け取ると艦内に放送した。

『本艦はもはや戦闘に耐えられる状態でないため放棄する、各乗員は速やかに退艦せよ』

この命令は即座に実行され、各部署に配置されている生存者たちは脱出用シャトルに乗り込んだ。

「よし、これでいいだろう。さて、我々も脱出するとしよう」

そう言ってクロパチェクは脱出用シャトルに向かうべく、走り出した。

「それにしても本当にひどい有様だ」

クロパチェクはあたりを見回した。

「これではもう戦争どころではないな」

クロパチェクの目に入った光景はまさに地獄絵図そのものといったありさまであり、彼は思わず顔をしかめた。
そしてこの惨状を引き起こした原因に思い当たる節があり、そのことについて考えていた。

(やはり今の同盟軍艦艇の防御力には疑問符が付くな、生きて帰れたら意見具申書を出すか)

そんなことを考えつつ、クロパチュクは脱出用シャトルへ乗り込むと、直ちに旗艦レオニダスから退艦し、付近を航行していた分艦隊旗艦リューリクに収容された。そして司令官を始め幕僚団の大半が死亡したことあり、現在の第4艦隊の指揮官は一時的に分艦隊司令官であるセルゲイ・パノフ
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