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ボロディンJr奮戦記〜ある銀河の戦いの記録〜
第66話 用意周到 本末転倒
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ないじゃないか、バカやろう』以上です」
「機動部隊の方に被害がないか確認。それとグランボウの位置はまだ特定できないか?」
「……艦位特定しました。当艦の後方、四時の方角。仰角マイナス四五度。距離一八.七光秒」
「予想より少し遅れたようだな。よろしい。これより合流する。艦隊進路変更二時。仰角マイナス二〇度。その旨、グランボウへ伝達」
「了解」

 信じた通りの結果にはなった。ただ想定よりも三〇分以上は遅い位置に中佐達は居た。乗り込みに時間がかかったのか、それとも別の理由があったのか。はっきりとは分からない。だが合流すればわかるだろうが、あと一時間はかかりそうだ。

「サンテソン少佐。三〇分交代で休養をとってくれ。私もここで休養をとります」
「……どうやらそうはいかないみたいですぜ。グランボウから通信です。『提督』宛に直接お目にかかってお礼を申し上げたいと、帝国軍の准将が言ってるそうです」
「レッペンシュテット准将か。今のグランボウの位置からシャトルを飛ばして、ここまでどのくらいで着く?」
「シャトルなら三〇分でしょう。どうします?」
「一〇分ずつ小休止に変更しよう。歓待するとグランボウに伝えてくれ」

 あぁこれは面倒なことになりそうだなと、数日前に画面越しで会った狐のような陸戦士官を思い出して俺は溜息をついた。





 果たしてきっかり三〇分後。レッペンシュテット准将とその副官が戦艦グランボウのシャトルに乗って、トレンデルベルクにやってきた。本来であればこちらの方が若いのだからシャトルハッチまで出向くのが道理だが、フィンク中佐からも他の艦長達からも帝国軍将兵の拘束を伝える信号が来てないので、まだお芝居を継続する場面だ。
 それに加えもし万が一陸戦のプロとまともに拳で戦うようなことになったとしたら、こちら側に勝ち目がないのは明白なので、トレンデルベルクに搭乗している一〇人の白兵戦隊員全員を艦長席へつながる裏廊下に隠しておく。
 
 しばらくして艦橋に入ってきた実物のレッペンシュテット准将は一目見ただけでタダモノではないとわかった。身長は俺と同じくらいだが、胸の厚さは二〇パーセント増し。ピッチリとした帝国軍軍服がこれほど似合うのは、体幹が優れている故か。無理がないのに状態がぶれないからだろう。顎も腕も締まっていて、素手の殴り合いでは絶対に勝てそうにない。

 俺はわざとらしく先に敬礼するレッペンシュテット准将を視線に収めてからゆっくりと嫌々ながらに指揮官席から立ちあがり、彼に向かって敬礼した。

「救援感謝いたします。ボーデヴィヒ准将」
「命令だからな。レッペンシュテット准将。聞けば私に会って礼を言いたいということだが、どういう事だ」
「端的に申し上げますと、確かめたいことがありまして」

 そ
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