第一章
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釣り上げた島
世界は海ばかりであった。
その中でただ一つハワイキという島だけがあった。その周りは海しかない味気ない世界だった。
それで人々は島の周りで漁をしたり釣りをしたりしていたが兎角寂しい思いをしていた、人間達も生きもの達もその島にしかいなかった。
それでだ、島の青年の一人マウイ痩せた長身で黒い肌と厚い唇と丸く大きな目を持つ彼はこう言った。
「もっと賑やかにしたいな」
「もっとか」
「賑やかにしたいか」
「そう考えているんだな」
「世界に島が一つなんて寂しいにも程がある」
マウイは仲間達に言った。
「もっと島を増やさないといけない」
「そしてそこにか」
「人も生きものも移り住んで」
「そうしてか」
「賑やかに暮らすんだな」
「その島々で」
「そうしたくないか」
仲間達に問うた。
「広いばかりの海の中に島が一つだけじゃなくてな」
「それはそうだけれどな」
「具体的にはどうするんだ?」
「島を増やすと言っても」
「具体的にどうするんだ」
「島だぞ」
仲間達はマウイに問うた。
「島を増やすってどうするんだ」
「一体な」
「増やし方があるのか」
「そんなものがあるのか」
「島は土だな」
マウイは仲間達にこのことを話した。
「そうだな」
「ああ、それはな」
「島はそれで出来ている」
「そこに木や草が生えている」
「それが島だ」
「土は海の底にもある」
このハウイキだけでなくというのだ。
「その土を釣って上に上げるとだ」
「島になるか」
「じゃあ海の底から土を釣り上げてか」
「そのうえでか」
「島にしていくか」
「そうするんだな」
「ああ、ないなら作ればよくてな」
そうしてというのだ。
「釣り上げられるんならな」
「釣り上げる」
「そうするか」
「それじゃあだな」
「今から海の底から土を釣り上げていくか」
「そうするな」
こう言ってだった。
マウイは釣り竿に糸と針を付けた、そうして仲間達と共に船に乗って海を出て。
糸を海の底まで垂らした、その先にある釣り針をだった。
土にかけると一気に引いた、すると。
大きな土、マウイ達どころかハワイキ位の大きさのそれが出てだった。
海の上に落ちた、するとその土がだった。
「島になったぞ」
「釣り上げた土が」
「そうなったぞ」
「よし、さらに釣るぞ」
マウイは海の底から釣り上げられた土が島になったのを見て驚く仲間達に対して明るい顔で述べた。
「島を増やすぞ」
「そうするか」
「さらに釣って」
「そうするんだな」
「ああ、そうしてだ」
そのうえでというのだ。
「この世界を島で満たすぞ」
「よし、やってくれ」
「俺達は魚
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