第一章
[2]次話
大秦王の使者
ローマ皇帝マルクス=アウレリアウス=アントニウスは一つの決断を下した、そのうえで周りの廷臣達に話した。
「東にも大きな国があるな」
「その様ですね」
「このローマに匹敵する大国だとか」
「領土も民も相当なもので」
「我がローマに劣らぬといいますな」
「確か漢といったな」
皇帝は濃い茶色の短くした髪と髭の皇帝というより哲学者という顔で述べた。
「そうだったな」
「そうした名前でした」
「そして皇帝が治めているとか」
「百姓から成り上がった者が興し」
「今も至るそうですな」
「その国と交流を持つとしよう」
皇帝は政治の話もした。
「だからその国に使者を送るとするか」
「その漢まで、ですか」
「そうされますか」
「これより」
「遠い国だが」
それでもというのだ。
「どの様な国か知りな」
「そうしてですか」
「交流を持ち」
「そして交易もですか」
「それも行いますか」
「遠い国だが」
それでもというのだ。
「知っていて悪いことはあるまい」
「はい、相手を知っていればです」
「若し何かあった時に対しやすいです」
「戦になろうとも」
「そうなろうとも」
「だからな」
それ故にというのだ。
「ここは漢にだ」
「使者を送り」
「そうしてですね」
「漢を知りますね」
「その様にする」
こう言ってだった。
皇帝は漢に使者を送ることにした、早速使者が選ばれ彼は使節団と言っていい一団を連れてローマを発った。
そうして漢のの都である洛陽の前まで来たが。
使者は疲労困憊した顔で今にも倒れそうになって共にいる者達に言った。
「ようやくだな」
「はい、ここまで着くことが出来ました」
「漢の都に」
「我等で言うローマに」
「何とか着きました」
「寒さも暑さも渇きも餓えもあった」
使者はすっかり日に焼けて髭だらけになった顔で述べた。
「そしてだったな」
「賊や獣に襲われ」
「パルティアの者達もいました」
「いや、全く以てです」
「ここまで何度命を落としかけたか」
「しかしだ」
それがとだ、使者は言った。
「こうしてだ」
「何とかですね」
「都に着きました」
「何でも洛陽というらしいですが」
「着きました」
「そうだな、しかしだ」
ここで使者は供の者達に言った。
「ここに来るまでだが」
「はい、城は大きくです」
「城壁は高く」
「かつ家は木造でしたが立派な屋敷が多く」
「兵も多いです」
「馬もまた」
「服もよかった、民の服ですらだ」
使者は真顔で言った。
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