第二章
[8]前話
「寂しいわ」
「そうだよね、やっぱり」
「飲んでもね」
一人暮らしの時は気楽だった、けれど同棲する様になるとだ。
「寂しいのよ」
「僕もわかってるから、だからね」
「その時を待ってるわね」
「うん、その時まで待ってね」
「そうさせてもらうわ」
こう彼に答えてだった。
私は歯を磨いて寝た、彼はもう職場にいる時に近所で買ったコンビニ弁当で済ませたらしくシャワーを浴びて歯を磨いて寝た。私が寝た後にベッドに入っていたけれど私はもう寝ていた。
こうした日がまた暫く続いたけれど遂にだった。
彼の仕事は山場を越えて残業はなくなり有給の話も出来る様になった、それで二人で一緒に有給の時を迎えてだった。
旅行に出た、都会の喧騒を逃れてシーズンではないけれど軽井沢に行った、そこで彼に笑顔で言った。
「ずっと一人だったから」
「それでだね」
「この旅行の間はね」
軽井沢に来るまでもそうだったけれどだ。
「一緒にいましょう」
「そうしよう、それで埋め合わせしていいかな」
「いいわ、もう一人でワインを飲むのも飽きたし」
これは他のお酒でも同じだ。
「だからね」
「それでだね」
「この旅行は終わるまでね」
「二人一緒でだね」
「楽しみましょう」
軽井沢だけじゃない、このことは。
二人で一緒にいる時間自体をだ、こう言ってだった。
私は彼の左手を両手で掴んで寄り添った、すると彼は笑顔で預けてくれた。すると。
自然に寂しくなくなった、彼が残業続きの時は寒くてそうだったのに今は一緒にいられて嬉しく手暖かくて。
私も笑顔になった、そうして一緒にいるこの時間を楽しんだ。お酒はないけれど充分だった。もうそれだけで。
I know 孤独のせい 完
2021・11・28
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