六十 雨夜の月
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に濡れて益々冷たくなっていった。
雷まで伴って怪しくなる雲行き。
豪雨の中、時折鳴る稲光が両者の顔をピカッと照らす。
片や、激しい雨にも微塵も動じないナルト。
片や、正気を失ったかのような虚ろな瞳の角都。
そうしてその双方を、茂みに隠れ潜んで盗み見ていたゼツは、意外と長引いている勝負の、いや、生死の行方を窺っていた。
木ノ葉の忍びにより生き埋めにされた飛段はともかく、角都は窮地のところをナルトのおかげで救われたと聞いた。
しかしながら、普段五つストックしていた心臓を木ノ葉忍びに削られ、心臓がひとつとなった角都は何を血迷ったか、サソリとデイダラの心臓を抜き取り、そうして今現在、ナルトの心臓までも狙っている。
ゼツにとっては正気の沙汰ではない光景だ。
しかしながら瞬殺で終わるだろうと思われた戦況は未だ終わりを迎えていない。
ナルトを警戒し、【土遁・土矛】により皮膚を硬化させ、防御力を極限にまで高めた角都が攻撃をするも、その全てをナルトに避けられているからだ。
各種の性質変化を持つ心臓を取り込んでいれば、五大性質を扱えるが、防御に徹するその様子に、白ゼツが焦れたようにぼやいた。
「…なんで角都のやつ、分裂体を出さないの?サソリとデイダラの心臓を奪った今なら、」
「バカカ。アノナルトヲアイテニシテ、シンゾウヲブンダンナンテ、デキルハズガナイダロ」
仮に分裂体を生み出し、それぞれに攻撃されたとしても、角都本人の懐に即座に接近されたら一溜りもない。それに奪った心臓は五大性質を扱っているとは言い難い代物だ。
デイダラは土遁と爆遁あたりの性質変化だとしても、傀儡師であるサソリは五行性質のいずれも取り扱っていない。
第一、分裂体を生み出しても、即座にナルトに撃破されるのがオチだ。数で圧そうにも、あのナルトに通用するという甘い考えは愚の骨頂。
せっかく奪った心臓が水の泡になる。
ならば、最初から三つ心臓を確保している状態で闘うほうが遥かにマシだと言えよう。
「でもさぁ…」
「シズカニシロ…ウゴクゾ」
猶も反論する白ゼツの声を押しとどめ、黒ゼツは身を乗り出した。
視線の先、防御にばかり割り振っていた角都が攻撃に転じる動きを見せる。
体内からぶわりと黒い触手を出現させたかと思うと、それらは一斉に巨大な黒い波となってナルトへ押し寄せた。
角都の【地怨虞】の術である繊維状の触手がナルトを襲う。
凄まじい数の触手がナルトの心臓を奪わんと差し迫った。
それらの猛攻を避けていたナルトの足元の地面が、ぼこり、と盛り上がる。
気づいた時には、地面に潜らせておいたらしき角都の手だけが、ナルトの足首を掴んでいた。
どうやら、空中で蠢く数多の触
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