六十 雨夜の月
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共にシカマル達は帰還。
そうして師の敵討ちをする為に、飛段と角都へもう一度再戦。
飛段は謎の白フードの存在の介入で取り逃してしまったが、ナルの新術のおかげで角都を撃破し、今し方里へ戻ってきたタイミングでアスマが生還する。
あまりにも都合が良すぎて、アスマ生存を喜ぶも、綱手が疑心を抱くのは仕方のないことだった。
飛段の呪いで死にかけたという記憶でさえ不明慮だと、里に帰還するなり真っ先に火影のもとへ連行されたアスマも首を傾げていた。
なんせ『暁』と戦闘していたはずが目を覚めると、サクラに肩を借りて木ノ葉の里へ戻っていたのだから。
何がなんだかさっぱりだ、とアスマ自身も狐につままれたような心地でいる。
今は身近な者へ元気な姿を見せろ、という綱手からの配慮で、紅やシカマルのもとへ向かったが、それでも里長としては楽観的にこの状況を素直に喜べない。
アスマ死亡の報告を受けた時から、里の皆が哀しみに暮れ、葬式をし、墓石まで立てた。
そうしてアスマは生還した。
その間に何があったのか。
山中一族が総出で調べてもアスマの頭からは何も得られなかった。
どれだけ詮索しようとも探ろうとも、異常は見当たらない。
ぽっかり空いたアスマの空白の記憶。
巧妙に隠されているのか、それとも他に何かあるのか。
アスマ生存という喜ばしい状況の反面、積み重ねる謎の数々に、五代目火影の綱手は頭を抱えた。
深く溜息をつくと、席を立つ。
火影邸から木ノ葉の里、いや、里から向こうを透かし見るかのように彼女は俯瞰した。
太陽はとうに沈み、夜の帳が下りている。
いつの間にか立ち込めている暗雲から、不吉な音が響き始めた。
ぽつぽつ、と降り始めた雨が稲光を伴って里を暗闇に沈める。
木ノ葉隠れの里向こうの何処で、雷が墜ちる音が轟いた。
空いっぱいに広がる雷雲。
綱手の心中をあらわしたかのような暗雲の下で、五代目火影は顔を曇らせる。
雲行きが怪しい。
暗く沈んだ空模様は何かの不吉な前触れのように思えた。
自分達が知らないところで、一体何が起こっている…。
彼女の視線の先。
雷雲が一際立ち込める曇り空の下では、火影も木ノ葉の忍びも、誰ひとり知らない戦闘が今まさに、行われていた。
たったひとりの目撃者の前で繰り広げられる、緩やかな殺戮が。
雨が降り始めた。
最初はぽつぽつ、とした小さなモノがやがて土砂降りになり、地面の色を変えてゆく。
雨は地面に倒れ伏す遺体の上にも平等に降り注ぐ。
物言わぬモノと化したサソリとデイダラの遺体が、雨
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