暁 〜小説投稿サイト〜
冥王来訪
第二部 1978年
ソ連の長い手
ミンスクハイヴ攻略 その5
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500トン近い重量を持ち上げるのは困難で、尚且つ危険なためであった
 ミサイル貯蔵施設を基に設計された、富士山麓の『ラストガーディアン』秘密基地
今思えば、ゼオライマーの為とは言え、巨額を投じて基地建設をした前世の日本政府
彼を殺した沖も、転生用の肉体として確保していた秋津マサトを十分に育て上げた事には感謝しかない
 ゆっくりと推進装置を吹かし、滑走路を暖機運転していると通信が入る
操作卓の通話装置のボタンを押し、返答する
「何の用だ……」
口髭を蓄えた凛々しい男が画面に映る
「木原君、外務省の珠瀬(たませ)だが……」
彼は顔を顰めた後、男に返答する
「俺の上司は書類の上では綾峰だったはず、貴様等は部署が違うだろう」
そう呟いた後、右手を顎に添える
男は押し黙ったまま、黒い瞳で此方の顔色を窺う
「外交ルートを通じた案件か……。
それとも米軍はB-52で爆撃してくれることに成ったのか」
ふと、冷笑を漏らす
「俺がミンスクハイヴを消し去った後、絨毯(じゅうたん)爆撃してくれるならば喜んで協力しよう。
蛮族とBETAを()やしにして、白ロシアの地に莫迦(ばか)でかい畑でも(こしら)える計画……。
悪くはない」
画面を覗き込むと、件の外交官は唖然としている
「その代わり、派手にやろうではないか。 手を貸すぞ」
推進装置の出力を上げ、機体を前進させる
「なんだと……」
大きく目を見開く
「楽しみに待ってるぞ」
そう答えた後、推力を全開にして浮上する
其の儘、離陸して、上空へ向け飛び去って行った


 単機で、バルト海上を東に進むゼオライマー
次元連結システムを有する同機には空間転移機能があり、即座にハイヴ正面に乗り込めた
(あえ)て見せつける様に、東ドイツとポーランドに跨る海域を100メートルの低空飛行で巡航
ポーランド空軍や海軍の動きを調べたい為でもあった
 操作卓にある対空レーダーが反応する
距離から計算すると、1分ほどで接近
一番の原因は彼自身の慢心であろうか、近寄る大型ロケットの発射兆候を見落としていた
 ゼオライマーは、その場で空中浮揚し、両腕を胸の位置まで上げる
全身をバリア体で包むと、両腕の手甲部分にある球が光り輝く
強烈な吹きおろし風が嵐のように周囲を舞い、海上に降りかかる
レーダーには、遠く大気圏上を飛んでくるものが見える
件の火箭(かせん)であろうか、即座にメイオウ攻撃を放つ
強烈な爆風と電磁波が降り注ぐ
バリア体によって機体には全く影響は受けなかったが、かなり強力な電磁波
恐らく被害は数十キロに及ぼう……
目を操作卓に向けると、計器類の数値が乱高下する
 彼は即座に調べるよう命じた
「今の電磁波は何だ……、四方(よも)や放射線ではあるまい」

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