第二部 1978年
ソ連の長い手
ミンスクハイヴ攻略 その5
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長官としての君の判断を認めよう……。だがゼオライマーの件が片付くまでは辞表は認めん」
西ドイツ ハンブルグ
マサキは、一人深夜の戸外に居た
深緑色の野戦服の上から、フードの付いた外被を羽織り、立ち竦む
冷めたコーヒーの入った紙コップを左手に持ちながら、紫煙を燻らせていた
右の食指と中指でタバコを挟み、天を仰ぐ
ゼオライマーに搭載してある次元連結システムを応用した三次元レーダー
その装置によって、ソ連の動向は把握済み
「あとは大義名分か……」
紫煙を燻らせながら、そう呟く
「そこに居りましたか」
ふと、女の声がする
振り返ると強化装備の美久が居た
苦笑を漏らすと、ひとり呟く
「既に俺達は、経略の上に居る……」
再び、口にタバコを近づける
一口吸いこんだ後、勢いよく紫煙を吐き出す
「東西冷戦という名の政治構造の中に在って、上手く立ち回る……
その様な浅はかな考えは身を滅ぼすだけだ」
黙って立つ彼女の脇を通り抜ける
「しかし、それとて常人の考え……」
そっと、肩に左手を添える
「ここは一つ、ソ連領内に打ち上げ花火でも投げ込んでやろうではないか」
背中から抱き付き、手繰り寄せる
強化装備の特殊被膜の上から、胸から臍に掛けて撫でる様に右手を動かす
「ミンスクハイヴを灰燼に帰す……、ソ連という国家と共にな」
右手に持った煙草を地面に放り投げると、茶色の半長靴で踏みつける
髪をかき上げると、こう告げた
「目障りなソ連艦隊を消し去ってから、ミンスクハイヴの正面に出る。
奴等には、廃墟となった市街を見せて、驚嘆せしめる」
顔を上げ、天を仰ぐ
「じきに夜も開けよう……、機甲師団との大乱戦になるかもしれん。
しっかりと奴等の目に、冥王の活躍を焼き付けようではないか」
そう答えると彼女の身から離れ、一人格納庫の方へ向かう
磨き上げられた茶皮の軍靴で、力強く踏みしめながら横倒しになった愛機の下へ向かう
全長50メートルの機体は、戦術機専用の格納庫には収納できず、特別の物が用意された
かつて飛行船や観測気球の為に作られた木造の格納庫を模した物
格納時は、板状の台車に横倒しで乗せられ、連結された大型トレーラー2台に牽引された
マサキは、格納庫入り口の備え付けられた有線電話を使い、整備員に出撃する旨を伝える
格納庫の大戸が開き、トレーラーがゆっくりと滑走路まで運んでくる
頭部直下にある搭乗口より機体に滑り込み、操作卓に触れる
上着を脱ぎ、座席の後ろに放り投げた後、立ち上がった電気系統の動作を確認
美久の登場を確認した後、勢いよく操縦桿を引く
両腕を地面につけ、掌を重心にして機体が持ちあげる
ミサイル起立発射機を転用した昇降装置の使用も検討するも、断
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