第二部 1978年
ソ連の長い手
ミンスクハイヴ攻略 その4
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に変わっていった
男が思う以上に、東ドイツ軍は必死の抵抗を見せた
対空機関砲の死角から、歩兵が肉薄してきて対戦車砲を打ち込んでくる
管制ユニットを撃ち抜かれた一機が、爆散する様を網膜投射越しに眺めていた
「小癪な……」
銃身を向けた瞬間、突撃砲に何かがぶつかる
咄嗟に、火砲を捨て去り、後ろに引き下がる
直後、破損した砲は爆散した
飛来物に、メインカメラの照準を合わせる
振り返ると朱色の塗装がされた戦術機
頭部には大型の通信アンテナ
まるで中世の武人が用いた兜の前立てを想起させる
朱染めの機体が、接近戦闘短刀を手裏剣の様に投げつけてきたのだ
噂に聞く光線級吶喊専門部隊の隊長機
男は不敵の笑みを浮かべる
撒き餌に引っ掛かったようだ……
「同志大尉、私は隊長機をやる。君は副長を仕留めろ」
画面越しに移る男は、頷く
「了解」
操作卓の上に放り投げたタバコを取り、口に咥える
「狩りの時間だ」
そう呟くと、火を点けた
ユルゲンはゆっくり機体を着陸させると、黒一色の機体と相対する
左手に構えた突撃砲を面前の機体に向けた侭、通信を入れる
国際緊急周波数121.5MHzを通じ、ロシア語で呼びかけた
「警告する。貴機はГДР(ドイツ民主共和国)領内を侵犯……」
(露語名称:Германская Демократическая Республика、の略称)
黒色の鉄人は、長刀を背中の兵装担架から抜き出す
手首を回転させると、逆手に構える
対峙する朱色のMIG-21も、背面より長刀を抜き取る
「御託は聞き飽きた。
文句があるなら、俺を切ってからにしろ。小童」
長剣を構えて、身動ぎすらせぬ隊長機
両名の間に、何とも言えぬ空間が出来上がろうとしていた
まるで触れることさえ、許されざる様な存在……
周囲の兵達は、遠巻きに推移を見守った
ユルゲンが、KGB隊長機と睨み合っている頃、ヤウク少尉は別行動を取っていた
彼は乗り慣れたF-4Rを駆り、迷彩塗装の施されたMIG-21の手勢を引き連れる
噴射地表面滑走で、勢いよく前進していた目の前に、ソ連機が下りて来る
識別番号も国籍表示も無い、MIG-21
全身は黒く染められ、メインカメラは赤色灯に換装されていた
改良型であろうか、見慣れぬ突起や装甲も確認できる
射撃をしようとした仲間を空いている左手で、制する
すると件の機体は、右手に構えた突撃砲を投げ捨てた
「降伏するのか……」
そう呟くと、向こうより返答があった
「二刀装備のF-4ファントム、戦術機実験集団の副長と見受けた……。
一廉の武人であるならば、
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