第2部
スー
アープの塔
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を見たので落ち着いていたが。
「見て! 入口が!!」
私が指差した方には、今まで本棚で塞がれていた部屋が露になっていた。だが、その狭い部屋には山びこの笛などなく、さらに下をみると部屋の床には穴が空いていた。
「? なんで穴が空いてるんだ?」
ユウリが私の前に来てその小部屋の前に立つ。そこは人一人立っているのがやっとだが、床がないので立つことすらできない。
穴から下を覗き込むと、暗闇が広がっており、まるで煙突のようだった。だが、穴の入り口には申し訳程度に縄ばしごがかけられており、恐らくこの縄ばしごを使えば下に降りられるのであろう。
だが、そこに入るにはさらに狭くなっており、大人の体格では入ることすら厳しい。
「随分厳重に保管されているんだな。まあ、オーブを見つけるアイテムがあるのなら、このくらい警戒する方が自然か」
「ここから下に降りられるんだね。でも随分狭いよ」
ジョナスはまず間違いなく無理だ。ユウリも装備を取れば入れないことはないが、それでもほとんど身動きをとることは出来なさそうだ。そうなると、残っているのは私と……。
「おれが下に行く!」
「ルカ!?」
なんと、自ら申し出たのはルカだった。確かにこの中ならルカが一番難なく下に降りられるだろう。でも、下に何があるかわからない状況で、彼を一人で行かせるのはあまりにも無謀だ。
「いや、でも……」
「わかった」
私が難色を示していると、それを遮るようにユウリが答えた。
「その代わり、危なくなったらすぐ引き返すんだ。わかったか?」
「はい!!」
元気よく返事をすると、ルカはすぐに下へと降り始めた。縄ばしごに足をかけるたびに、ゆらゆらとぎこちなく揺れる。
「大丈夫かな、ルカ……」
「安心しろ。お前が思うより、あいつはしっかりしてる」
弾くようにユウリの方を見ると、全く心配などしていない様子だった。
どうしてそんなに自信をもって言えるのだろう。私はこんなに不安で仕方無いのに。それは、私がルカの姉だからだろうか。それとも、ルカを未だに子供扱いしているから?
未だに悶々としている私をよそに、ユウリはもちろん、ジョナスもじっと待っている。男性二人がルカを信じて待っている中、私一人が騒ぎ立てても仕方ないと思い、ここは黙って見守ることにした。
ルカが下に降りてから、十数分。体感的に言えば、一時間くらいは経っている気がする。いつのまにか消えていた縄ばしごを踏みしめる音が、再び聞こえるようになった。
そして、降りるときより格段に早いスピードで、ルカは平然と戻ってきた。
「ありましたよ!! 山びこの笛!!」
今までにないくらい明るい笑顔で穴からひょっこりと顔を出したルカは、手にしていた山びこの笛を高々と上げた。
「ルカ!! 怪我はない!?」
私が泣
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