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鬱になった時に
第一章

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                鬱になった時に
 作家の平良渉史はこの時鬱病になっていた、それで彼がデビューした頃からの専属の編集者である鈴木浩紀に話した。
「いや、本当に今は」
「通院されてですね」
「自分でもわかってるんで」
 黒髪をロングにしていて頬がこけた細面だ、やや色黒で穏やかな感じの目で背は一七〇位で中肉である。
「出来るだけ日光にもです」
「当たる様にされてますか」
「立ちなおる様にしています」
「そうれですか」
「執筆もです」
 眼鏡をかけて長身で黒髪を奇麗にセットしたスーツ姿の鈴木に話した。
「何とかです」
「されていますか」
「出来るだけキーボードに向かっています」
 パソコンのそれにというのだ。
「そうする様にしています」
「あの、鬱といいましても」
「僕はまだ軽い方ですね」
「重いと動けなくなりますからね」
「そこまでなりますね、今兎に角精神的に重くてだるくて辛くて」
 平良は自分の状況も話した。
「辛いです、ですが何とか」
「ご自身でもですね」
「何とかなる様にしています」
「ではその間は執筆は」
「書ければ書きますから」
「そうですか、ではお願いします」
「何とかやっていきます」 
 自宅一人暮らしのそこに来てくれた鈴木に話した、兎角今の彼は鬱病と戦って必死だった。何とかしようとしていた。
 だがそんな彼のところにだ。
「ニャオン」
「その子がですか」
「この前外を歩いていたらたまたま目の前にいたんです」
 平良は小さな生後三ヶ月位の黒い子猫を抱いて自宅に仕事の話で来た鈴木に話した。
「それで今はです」
「動物病院にも連れて行って」
「ご飯もお水もあげて」
「首輪も付けてですか」
「家族にしてます。まだ一週間位ですが」
「一緒にですね」
「この部屋ペット可ですし」 
 このこともあってというのだ。
「メールでお話した通りに」
「仲良くですね」
「一緒に暮らしていきます」
「そうですか、では大事にしてあげて下さい」
「そうしていきます」 
 こう鈴木に言ってだった。
 平良は鬱病に悩まされている中で雄の黒猫ゴローと名付けた彼と共に暮らしていった、日々彼と一緒にいてだった。
 ご飯や水をあげて遊び相手になってトイレの後始末もした、そして。
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