第113話 上洛 前編
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組織したと言われている。
この軍制は曹操以下、その後の王朝の皇帝にも参考にされたことを考えると、理に適っていたのだと思います。
西園三軍は偉業と言えるかわかりません、暗愚な皇帝で知られる劉宏の数少ない偉業と言えるのでしょう。
俺の知る歴史通りなら袁紹、曹操もこの軍の校尉に任じられたはずです。
現在、俺によって歴史がかなり改ざんされてきているので、その軍が私が知る西園三軍であるかわかりません。
もしかしたら、西園三軍でないかもしれないです。
気になるので確認しておきます。
「その軍は何と呼ばれているのだ?」
「軍の名称までは生憎わかっていませんが、有能な若手の武官が洛陽に呼び寄せられています。麗羽様にも一軍の将官として、お声がかかっているとのことです」
「そうか」
麗羽がその軍の将官として、招聘されているのですか。
随分と彼女と会っていません。
揚羽と上洛して、暫く三人一緒に過ごすことができれば嬉しいです。
その前に、麗羽と揚羽に冥琳の件を打ち明ける大仕事が待っています。
「義兄上、何かご懸念でもおありなのでしょうか?」
真悠は私の様子を見て声を掛けてきた。
彼女は私の深刻な表情をしているのを件の軍のことで懸念していることがあると思ったのでしょう。
「別にない。ただ、常備軍の維持のための金は何処から捻出するのだろうなと思っただけだ」
多分、劉宏は銅臭政治などと揶揄される売官で得た金を元手に、皇帝直属軍の創設を行なうのだと思います。
売官のお陰で朝廷の財政は潤っているでしょうが、そのしわ寄せは全て民に重くのしかかっています。
陛下も得た金を幾ばくかでも民のための産業振興に割けば、飢える民を少しでも減らすことができるにも関わらず、それを怠り己の野心のみを成就しようとしています。
民の心がより陛下より離れて行く気がします。
黄巾の乱は始まりでしかないです。
「義兄上、言うまでもないです。使者の用事は義兄上に上洛を促すものらしいです」
「洛陽への召還? 情報元は何処なのだ?」
「母上です。私の母上は朝廷の重臣の方々と今でも交遊があります。母上の話では、陛下自ら義兄上へ新設の軍のお披露目に参加するようにと勅書をお出しになられたそうです」
「鮮卑族の件を納めてから上洛しようと考えていたのだが」
「陛下の勅書を無視など出来ませんし、鮮卑族の件は諦めるしかないです。鮮卑族への交渉はよろしければ私がお引き受けいたします」
真悠は待ってましたとばかり、鮮卑族の交渉役を任せて欲しいとやる気満々願い出てきました。
「正宗様、鮮卑族への交渉役は真悠殿にお任せしてよろしいのではないでしょうか? 我らは急ぎ上洛をいたしましょう」
先ほどまで私と真悠の会話を傍観していた冥琳
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