第五話
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?」
アンタにもあるでしょ、そう言って枕元を指差してやると小十郎が酷く驚いた顔をしていた。
見覚えのない刀、でも良いものだってのは抜かなくても小十郎は分かるようで、おずおずと手にとって酷く戸惑った顔をする。
「これは」
「政宗様が私達にクリスマスプレゼントだって、サンタさんに託して運んでもらったのよ。
クリスマスってのはね、サンタクロースっていう赤い服来たおじいさんが良い子のところにプレゼントを運んできてくれるわけ」
まぁ、私は良い子じゃなかったのか、こういうプレゼントは無かったかな。
妹ばっかりプレゼント用意しちゃってさ、本当面白くなかったわ。
「小十郎はいつも頑張ってるから、いい贈り物をくれたんじゃない?」
そんな風に聞いてみると、少しばかり寂しそうな顔をして小十郎が笑って頷いている。
「……父上に会えました。顔は分からなかったのですが、頑張っていると褒めてもらえました。
それに……一番聞きたかった言葉も」
「そっか」
祝福は欲しいものね。私も生まれて来て良かったって、ずっと誰かに言ってもらいたかった。
私には生まれてからの記憶があったけど、小十郎には物心つく前の記憶はないもんね。
だからお父さんがどういう人だったのかって……知らないんだもんね。
だから、あのクソ兄貴の言葉を真に受けるしかなかった。
小十郎にとって、これが優しい記憶になってくれることを願いたい。
祝福されてるんだよってこの子には思ってもらいたい。
自分がいらないなんて、捻くれた考えを持って欲しくない。だって……寂しいじゃないの、そんなのってさ。
「姉上、仕度が済んだのならば外に出てもらえますか。着替えをしますゆえ」
寝汗を掻いたから着替えたい、そんなことを言う小十郎に私は少しばかり意地悪な気持ちになる。
「え、別にいいよ。してくれちゃっても。小十郎がどれだけ逞しくなったか、じっくり見ててあげるから」
こんなことを言ってその場にしゃがみ込んだ私の首根っこを掴んで、小十郎が思いきり部屋の外に放り投げてきやがった。
おまけにきっちり戸まで閉めて。何とか庭に落ちることはなかったけど、この野郎素っ裸になったところを見計らって踏み込んでやる。
頃合いを見計らって、すぱんと良い音をさせて戸を開いてみると、下帯を取り替えようと外しかかってる小十郎とばっちり目が合いました。
「ほほう? 良い身体をしてるじゃないか。さて、今度はその下帯を外してみようか」
にやにや笑う私に、小十郎が目にも止まらない速さで拳骨を食らわせてしっかりと戸を閉めてきた。
あまりの拳の重さに悶えていたけれど、真っ赤な顔をしていたのは可愛かったなぁ。
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