脅威 ムーンキャンサー
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それ。
だがキャスターは、焦ることもなく呪文を唱えた。
「ディアボリックエミッション」
キャスターが両手を広げる。すると、黒い闇の球体がみるみるうちに広がっていく。
闇のそれは、森を飲み込みながら、ムーンキャンサーの触手を飲み込み、焼き焦がしていく。
「キャスター! まどかを……!」
ほむらは動けなくなっているまどかを指差す。
このままでは、闇がまどかも飲み込んでしまう。それを理解したのか、キャスターは一瞥と同時に、ディアボリックエミッションを打ち消す。
その隙を、謎の怪物が見逃すはずがない。
音速に等しい速度で、怪物は接近。
「っ!」
もうキャスターの魔法は間に合わない。
キャスターは腕を盾にして、キャスターの触手を防御した。すると触手はキャスターを殴り飛ばし、そのまま木々の合間に投げ込んだ。
「キャスター!」
「……っ!」
ほむらが悲鳴を上げる。
だが、彼女の心配など、サーヴァントである彼女には不要だった。
薙ぎ倒された木々を動かし、浮遊するキャスターに傷などない。
「お前は……何者だ?」
キャスターが、ムーンキャンサーを睨む。彼女はさらに、すぐそばに分厚い本___魔導書を浮かび上がらせる。
そして。
魔導書が、一瞬だけ光を灯す。
開かれたページの光は、ムーンキャンサーの周囲より魔法陣を展開、鎖が出現し、ムーンキャンサーを縛り上げた。
そして。
「咎人たちに、滅びの時を」
その言葉に、怪物は顔を上げる。
暗がりに支配されている時間帯。宵闇が訪れるはずの自然の摂理が、桃色の光によって掻き消される。
「星よ集え 全てを撃ち抜く光となれ」
桃色の星は渦を巻き、収束していく。そのままキャスターの手元に集っていくそれは、やがて大きな星となる。
すると、怪物は、その危険性を理解したのか、上空へ飛んで行く。高速する鎖を引きちぎり、ほむらも驚くほどの速度で小さくなっていく怪物は、もうほむらには目視できない。
だがそれは、キャスターには関係ない。
「スターライトブレイカー」
キャスターより放たれる、桃色の光線。
それは、逃げ出したムーンキャンサーを飲み込み、その体を爆発させる。
「やったの……?」
ほむらの問いに、キャスターは首を振った。
「手応えがない……逃がしました」
「そう……」
ほむらは、続いてまどかを見返す。
元に戻ったさやかに肩を貸すまどか。彼女は、恐れが混じった表情でムーンキャンサーが去っていった夕焼け空を見上げていた。
「ムーンキャンサー!」
いない。
「どこ!?」
いない。
どこにもいない。
「トレギ
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