脅威 ムーンキャンサー
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の間、ほむらを見下ろすムーンキャンサーは、突然首を回した。
「あれっ!?」
背後から忍び寄り、レイピアを放ったマーメイドの攻撃さえも掻い潜った軟体生物の怪物。その狙いは、この場において、もっとも仕留めやすい獲物。
唯一の非戦闘員。
鹿目まどか。
「まどかっ!」
「やばいっ!」
ほむらが叫び、マーメイドが水となりムーンキャンサーへ跳ぶ。
だが、間に合わない。このままでは、まどかが自分や周囲の動物たちと同じように、ムーンキャンサーの餌食になってしまう。
___時間操作が使えれば___
もう、ほむらに迷いの時間はなかった。
動けない体。その右手が光り輝く。黒と紫の光とともに、その白い手首に刻まれた紋様、その一部が消滅した。
「来なさい……! キャスター!」
それは、令呪。
聖杯戦争における、サーヴァントへの絶対命令権。
僅か三回のみ与えられたものながら、たとえ不可能な事象であろうともサーヴァントが行う。
そして今。
彼女の残る二回の内、一回が消費された。
すると、青々しい緑の世界に、闇が訪れる。
時刻よりも一足早い闇の降臨に、怪物もまた動揺を見せた。
「まどかを守りなさい!」
すると、闇は柱となり、ムーンキャンサーの前に立ちふさがる。その勢いに煽られた怪物はたじろき、そのまま離れていく。
やがて闇の柱は霧散し、その姿が露わとなっていく。
漆黒の甲冑と、その背中から伸びる四枚の翼が特徴の女性。腰まで長い銀髪が靡き、その鋭い深紅の眼差しは、ムーンキャンサーをじっと見据えていた。
キャスター。
それは、聖杯戦争におけるサーヴァントのクラスの一つ。
ほむらが参加者である証であるサーヴァント、キャスターは、怪物へその手を向けた。
突然の出現に、ムーンキャンサーは驚いているようだった。その口から、超高音の光線が放たれる。
だがそれは、キャスターには通用しない。彼女が伸ばした右手より、黒い魔法陣が描かれる。それは、真っ直ぐ飛ぶはずの光線を、無数の残滓として弾いたのだ。
「キャスター! 奴を潰しなさい!」
ほむらの命令に従い、キャスターの目がより吊り上がる。
すると、闇が収束しその手より放たれていく。
それはムーンキャンサーにとっても危険と判断されたのだろう。
キャスターから逃げるように離れながら、再び黄色の光線が発射される。離れた場所にいるほむらからしても、その高音に聴覚が異常を訴える。
「これは……?」
その正体は、彼女もまた理解できていないのだろう。黒い光線でその攻撃を飲み込みながら、キャスターは疑問符を浮かべている。
ムーンキャンサーは、次に触手を放つ。
並みの生物であれば、即死は免れない
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