脅威 ムーンキャンサー
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いたことに、気付くことはできなかった。
「っ!」
マシンガンを握る手を掴まれ、重火器を落とす。重い金属が落ちる音とともに、ほむらの体は高く振り上げられていった。
「ほむらちゃん!」
まどかが心配する声が聞こえる。
だが、ムーンキャンサーの触手は、すでにほむらへ容赦する気など失せている。
その中の、特に太い触手が、身動きが取れないほむらの腹に突き刺さった。
「がはっ……!」
悲鳴とともに、ほむらの口から血が吐き出される。
だが、触手の真骨頂はそれだけではない。
「これは……!?」
その能力に、ほむらは目を見張った。
吸いつくされていくのだ。肉の触手を通じて、血が。肉が。
その度に、ほむらの体から力が抜けていく。やがてそれは、ほむらの生命力さえも吸い出していく。間違いなく、致死量の血液がほむらの体から去っていった。
「転校生!」
地上のマーメイドが、ほむらを救出しようと無数の水の弾丸を発射した。
だがそれも、ムーンキャンサーが操る触手の前に、次々と液体の攻撃は撃ち落されていく。
だが。
「悪いわね……私はこれ程度では、死ねないのよ……!」
干からびていく腕が。肌が。全身が。だんだんと壊死していく。
ただ、その目だけは乾いていくことはなかった。
体を捻り、左手の盾から取り出した手榴弾。それを放ろうとしたが、目ざとくそれを阻止しようとしたムーンキャンサーは、残った触手でほむらを締め上げる。
だがもう遅い。
にやりと笑みを浮かべたほむらは、口で手榴弾の留め金を外し、自らの体に打ち付けた。
「__________________」
ほむらの体が爆発に包まれると同時に、まどかの悲痛な叫びが聞こえる。
だが、ほむらの目的は果たした。
爆炎から抜けたのは、ボロボロになったほむら。
何度も体を震わし、死んでいなければおかしい状態になりながらも、ほむらは改めて森林を見上げた。
見滝原公園。見滝原の都心部有数の自然保護区であるこの場所は、当然野生動物たちも多く生息している。
「っ!」
犬。猫。兎。そのほか、様々な小動物たち。
その体が、あちらこちらに横たわっている。ほむらが見慣れた姿と比較して、明らかに肉付きが少ない。
それはまさに、今のほむらの体と同じ状態だった。
「干からびている……!? ……っ!」
転がって追撃の触手を避けると同時に、ほむらはポケットから小さく黒いオブジェを取り出した。ほむらの右手に埋め込まれている宝石に当てることで、紫の輝きが黒いオブジェに吸収されていく。
光の量に応じて、ほむらの体がだんだんと回復していく。
これでまた戦える、と銃を掴むほむら。
だが、そ
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