第九話
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こんな風に話を振られて、政宗様が苦笑している。
「そうだ。小十郎、お前は俺の右目だろ? 鬼なんかじゃねぇ、お前は竜だ。
竜ってのは力の化身、人に恵みを齎すばかりのものじゃねぇ。荒ぶるお前も慈悲深いお前も同じお前だろう?
いちいち気に病むんじゃねえよ。お前は俺の右目だ。そいつを忘れるな」
こんな言葉を本当に泣きたそうな顔をして聞いているから呆れてしまう。
ほら、アンタにはこんなにも認めてくれる人がいる。受け入れてくれる人がいるのよ?
だから、鬼だなんて思う必要は無いのよ。
「兄ちゃんは竜の目玉だか?」
「目玉って言い方は……ちょっとなぁ……。せめて、目とか瞳とかにしてあげて」
「兄ちゃんが竜の瞳なら、姉ちゃんも竜の瞳なんだな」
いつきちゃんのこんな言葉に私が目を丸くしてしまった。今の今までそんなこと言われたこと無かったんだもん。
「だって、兄ちゃんと姉ちゃんは双子なんだべ? 兄ちゃんが竜の瞳なら、姉ちゃんも竜のもうひとつの瞳だべ?」
なるほど、その発想は無かった! 言われてみればそういう解釈も出来るわよねぇ〜。
子供の発想って凄ぇ。まさか双子だからお前も竜の右目だろう、なんて言われるとは思わなかったわ。
「竜のもうひとつの瞳、か……そうだ、アイツは俺のもうひとつの右目だ」
おおっと、政宗様まで認めちゃったよ。うわお、竜の右目が二人揃ったことになっちゃったわ、これで。
じゃあ、少しは禄が上がるって期待してもいいかしら。役職も上がるとか。
「そっか、だから兄ちゃんは雷を使えて、姉ちゃんは空が飛べるだな。おら、そういう風に村のみんなに話をする!
兄ちゃん、おらのこと、助けてくれてありがとな! 村も助けてくれてありがと!」
「俺は……」
戸惑う小十郎に、いつきちゃんは笑って言葉を続ける。
「兄ちゃん、おらもな、鬼の子だって言われてただ。おらの髪の色、ちょっと変わってるべ?
おら、元は捨て子でいろんなところを点々としてきただよ。
婆娑羅の力も持ってたし、だから、鬼の子だって言われて嫌われてきただ。
でもな、この村でおっとうとおっかあに出会って、村のみんなにも出会って……初めて人として扱ってくれただ」
「お前」
「おらはみんなが大事だ! みんなもおらのこと大事にしてくれる!
誰に何を言われても、おらはみんなの言ってくれた言葉を信じるだよ!
……村のみんなは兄ちゃんのこと誤解してるだ。それは悲しいけど、おらがきちんと話をして誤解を解いてく。
伊達のおさむらい達は、みんな兄ちゃんのことが好きだよ! おらも兄ちゃんが好きだ!
兄ちゃんは……嫌いだか? 信用出来ないだか?」
こんな真っ直ぐな言葉をかけられて、そ
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