第2部
スー
精霊の泉
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翌朝、私はユウリと交代し見張りをし、最後にジョナスを起こした後、そのまま明け方までぐっすりと眠りについた。 最後まで寝てしまい、結局ユウリに叩き起こされる羽目になったのは余談である。
「ここから少し南、歩く。そこ、川渡れる場所、ある」
川に沿ってしばらく歩いていくと、確かに川底が見える場所が見えてきた。そこは弛いカーブになっており、溜まった砂や砂利が川底を浅くしていた。
ただ、浅いと言っても川の深さは私の膝くらいまであり、ルカに至っては太腿の付け根まで届くほどだ。
「ルカ、私担ぐ。ルカの荷物、誰か持つ」
ジョナスがルカを担ぐということで、荷物はユウリと私で分担して持つことにした。ルカは不服そうだったが、相手がジョナスだからか特に何も言わず素直に従った。さすがに背の高さはどうにもならないので、納得してもらってホッとしている。
川に入ると、それほど水の流れはきつく感じなかった。バランスを崩すことはなかったが、それでも冬の川の水は冷たく、段々足の感覚が薄らいでいくのがわかる。
こういうときに魔物にでも遭遇したら、最悪だよなあ……。
なんて不吉なことを考えていたからだろうか。寒気のするような一陣の風が急に吹いてきた。
他の皆も不審に思い、周囲に視線を巡らす。一足先に気づいたのはユウリだった。彼はすぐさま手を上空にかざし、天に向かって呪文を唱えた。
「ベギラマ!!」
彼の声が放つと共に、下から上に炎が舞い上がる。その威力は一瞬にして青空を朱に染めた。そして空が再び青に戻ったとき、上から物凄い早さで一匹の大きな魔物が落ちてきた。
ザバーーン!!
派手な落下音と同時に大きな水しぶきが上がる。せっかく濡らさないようにしてたのに、すっかりびしょ濡れになってしまった。
「ヘルコンドルか! 厄介だな」
ユウリの言うヘルコンドルと言う魔物は、大きな鳥の姿をしている。その言葉通り、ヘルコンドルは随分と高いところから落ちてきたと言うのに、気絶もせずすぐに立ち上がった。相当頑丈なのだろう。
「あいつの起こす風、人間飛ばす!! 気を付けろ!」
ジョナスもあの魔物のことは知っているのか、もしくはルカを抱えているからなのか、必要以上に距離を取っている。
ユウリは鞘から剣を抜くと、一気にヘルコンドルとの間合いを詰めようと、足場の悪い川底から這い出るように走り出した。
バサッ!!
すると、向かってくるユウリを牽制するかのように、ヘルコンドルが大きく翼を広げた。もしかして風を起こすつもりなのだろうか?
嫌な予感がした私は、咄嗟に川底に沈んでいる拳大くらいの石を拾うと、ヘルコンドルに思い切り投げつけた。
石は当たったが、ダメージはないに等しい。けれど動作を中断させることは出来た。その間にユウリはヘルコンドルの懐に入ると、横
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