第2部
スー
精霊の泉
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んて。私は生乾きの服と髪のまま、がっくりと肩を落とした。
「ミオ、服着替えるか?」
「あー、どうせ鞄の中の着替えも濡れてそうだし、このままで大丈夫だよ」
ジョナスの気遣いに感謝しつつも、私はこの濡れた体のまま先を急ぐことにした。今日も空は快晴だし、きっとそのうち乾くだろう。
「今夜は山の手前で野営した方がいいかもな」
平野が続き視界は広いが、その先には二度目の山越えが待っている。ユウリの提案に、私含め皆頷いた。
そのあとも、色んな魔物が襲ってきたが、平地での戦いなら皆慣れている。特に苦労することもなく一掃し、先に進むことが出来た。
その間、ルカはレベルが十三になり、私も上がってレベル十八になった。
二日目の夜は、山の裾野にある小さな泉の近くで野営をすることにした。
泉の周りには小さな可愛らしい花が色とりどりに咲いており、そこだけ別の空間にいるかのような不思議な雰囲気を放っている。それに、近くに魔物もいなさそうだし、こんな素敵な花に囲まれて寝られるなんて、最高の環境だ。
「ここ、精霊がいる泉。遠出するとき、よくここで休憩する」
ジョナスも御用達のようだ。でも、精霊がいるってことは、ここで騒いだりしたら迷惑になるのではないだろうか?
「ジョナス、私たち大人数だけど、ここにいて大丈夫? 精霊さん、驚かない?」
ジョナスはしばし考え込み、
「ここ、よく休憩してたけど、今まで精霊、見たことない。昔から精霊いる、親から聞いただけ」
精霊が存在するのは聞いているが、実際に見たことはないと言うことか。それなら大丈夫かな?
早速私たちは昨日と同じようにテントを張り、各々食事の準備を始めた。今回もジョナスと一緒に食材集めや狩りをしたが、昨日ほど多くはとれなかった。
仕方無いので、今回は念のためにとっておいた最後の携帯食も併用して食べることに。
鞄に入っていたそれを取り出そうとした、その時だった。
ぶぅぅん!
「ひゃっ!?」
突然目の前に、大きな蜂のようなものが目の前を横切った。驚いた私は思わず両手を上げ、勢いあまって携帯食をはるか上空へと放り投げてしまった。
「ああっ!?」
それは見事な弧を描き、近くにあった泉に投げ込まれた。その様を見ていた私は、愕然とする。
「ああ……。私の命の源が……」
私はその場に膝をつき、がっくりと項垂れた。
「大袈裟だろ、たかが一個じゃん」
そんな生意気なことを言うのは言うまでもなくルカだ。野宿の経験が浅い彼には食糧一つあるかないかで命に関わることを理解していないのだ。
「あのねえ、ルカ。今はジョナスやユウリがいるからいいけど、一人で旅をするとなると、食糧ってとっても大事になるんだよ?」
「なんだよ。アネキだってほとんど一人旅なんかしてないだろ!」
確かに
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