第2部
スー
精霊の泉
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一閃に薙いだ。
『シャギャアアッッ!!』
耳をつんざくような悲鳴と共に、ヘルコンドルは倒れた。だがそれでもまだ絶命せず、もがいている。
「しつこい奴だ」
そう吐き捨てると、さらにユウリは止めを刺すため追撃をしようと一歩前に踏み出した。だが、そこはちょうど浅瀬の境目だったらしく、彼の足が深みに嵌まってしまった。
「くそっ!!」
川底に足を取られたユウリは動けない。そうこうしている間に、瀕死のヘルコンドルは尚も倒れずに起き上がろうとしている。
こうなったら私が行く!!
私は星降る腕輪の力を引き出すと、ユウリに襲いかかるヘルコンドルに向かってダッシュした。だが、
ずるっ!! べしゃあっ!!
ちょうど私の足元にも泥が溜まっていたらしく、盛大に頭から突っ伏してしまった。我ながら情けない。
すると、そんな私に向かって、ヘルコンドルが翼を羽ばたかせている。その瞬間、猛烈な風が私に襲いかかってきた。
「ミオ!!」
風の音が遮り、もはや誰が私を呼んでいたのかわからない。私は水に濡れた体を必死で起こそうと体勢を立て直す。
まずい、間に合わない!!
魔物の生み出す強風が私に襲いかかる……はずだった。けれどその寸前、いつの間にかルカを離れた場所に下ろしていたジョナスが私の前に立ちはだかり、強風を全て受け止めていた。
「ジョナス!!」
ジョナスは自分の斧を川底に突き刺し、自身の体を固定していた。そのお陰で私は吹っ飛ばされずに済んだ。
「これで止めだ!!」
ぬかるみから抜け出したユウリが後ろから走ってきて、止めの一撃を魔物に放った。最後の断末魔をあげながら、ようやくヘルコンドルは倒れる。
「ありがとう、ジョナス」
「早く、川渡る。ここで魔物遭う、とても危険」
ジョナスはひょいとルカを再び担ぎ上げると、物凄い早さで川を渡りきった。後で本人から聞いたのだが、彼の靴はもともと獣の皮で作られており、歩きやすいのはもちろん、そのまま川に入ってもすぐ乾くから川を渡るにはうってつけらしい。
一方私はと言うと、さっき盛大に川の中で転んだせいで全身ずぶ濡れのままである。体も重く動きづらくなっており、ジョナスのようにスムーズに渡ることなどできない状態だ。
「おい、ぼーっとしてると流されるぞ」
そう言って私を追い越すと、ユウリもさっさと先に行ってしまった。私は気を取り直し、今度こそ転ばないよう川を渡ることにした。
川を渡り終えると、再び前方に高く聳え立つ山々が広がっているのが見える。その瞬間、再び嫌な予感が駆け巡った。
「ジョナス、もしかしてあの山脈も越えるの?」
「もちろん。あの山の向こう、アープの塔ある」
うわああ、やっぱりかあ。せっかく一息ついたと思ったら、またあの高い山々を越えなければならないな
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