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竜のもうひとつの瞳
番外編1〜いつきという少女 後編〜
第六話
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いる。
こんな光景を見てすっかり縮み上がっているのは農民の方だ。

 「双子が揃ってるから天災が起こった? 収穫出来ねぇのも双子のせい? ふざけたこと抜かすな!!
二年前、命懸けで村を救おうとしたのは何処のどいつだ!!
おめぇらは自分の子供を見捨ててとっとと逃げたってのに、それを助けたのは誰だ!!
災いの種ならそんなことはしねぇ。とっとと見捨てて逃げちまってただろうが!
そんな忌々しい慣習に騙されて、目を曇らせるんじゃねぇ!! アイツらは忌み子なんかじゃねぇ!!」

 「政宗様……」

 こんな政宗様の啖呵を聞いて、小十郎が一瞬だけ泣きそうな顔を見せた。
私は小十郎の肩に手を置いて苦笑をする。小十郎もまた私に苦笑で返してくれていた。

 この人のこういうところが人を惹き付ける魅力なんだよね。まぁ、私は無双の政宗様派だから惚れることは一生ないと思うけど。

 「はっきり言わせてもらうが、おめぇらの村を襲ったのはうちじゃねぇ。おそらくうちに成りすました何処かの連中だ。
……大体、何でこんな年貢だってろくに納められねぇような状況で、そんなことやらなきゃならねぇんだ。
しかも奥州を平定して、これから安定させようって時に。
俺はな、奥州平定を急いだのは、皆が笑って暮らせる国を作るためだ。
どんなにこちらが食うものに困ったとしても、そんな非道は絶対にやらねぇ」

 そんなの信用出来ねぇだ、という農民はいなかった。
そう言い返されるかとも思ったんだけど、それぞれ胸を打つものがあったみたいで、少しばかり動揺を見せている。

 「な、なら……おら達の村を襲ったのは……」

 「今、そいつらが何処の誰なのかを調べてる。じきにそれも分か」

 「大変だー!! おら達の村が襲われてるだ!!」

 やっとまとめに入ってたってところなのに、その声に全員が走ってきた農民に目を向ける。

 「だ、伊達の連中だ! 女と子供が兵を連れて攻めて来ただ!」

 女と子供? 待ってよ、うちに女子供で兵を引き連れられる人間いないよ?

 「政宗様、すぐに村へと向かいましょう! 敵の正体はっきりするかも」

 「分かってる……が、どうもコイツらはやる気のようだぜ」

 伊達の兵が襲ってきた、その言葉に農民達は揃って騙されるところだった、ってな顔をしている。
一戦交えるつもりでいるみたいだけど、ここで悠長に相手をしている暇は無い。

 「政宗様、小十郎と先に村へ行って迎撃に当たります。……私達いなくても納められますよね?」

 「馬鹿にすんじゃねぇよ、コイツら連れてすぐに行くからとっとと倒して来い」

 とりあえず許可が出たから、また空を飛んで行きますかね。馬を走らせるよりかはずっと早いし。

 離れるわ
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