番外編1〜いつきという少女 後編〜
第六話
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そんな政宗様の言葉に一揆衆に動揺が走る。
一体どういう手を使ったのかと思えば、まさか伊達軍に扮してそんなことやったとはね。
そりゃ一揆も起こしたくなるわ。裏切られたと思うのも当然っちゃ当然か。
「だ、だども、村を襲ったのはそっちでねぇか!」
農民の一人が上げた声に、そうだそうだと賛同の声が上がる。
「それに、そっちには双子の化け物が居ついてるって話だ!」
こんな声も上がる。流石にこれには小十郎には堪えたのか、かなり傷ついた顔を見せた。
「おめぇら、その双子の化け物に村救われてるのを忘れちまったのか。いつき、お前も酷ぇことするな。
お前の命を救ってくれたのも、居場所を失くしかけたお前に手を伸ばそうとしてくれたのも、その化け物だろ?」
「おらは! ……おらは、兄ちゃんや姉ちゃんは人間だと思ってる。
おらもそれは違うって言ったけど、騙されてるって言われて信じて貰えなかっただ」
まぁ、そりゃそうだろうねぇ……信心深い村で双子、なんて言ったら災いの象徴だもんね。
「あの土砂崩れだって、双子なんかいるから起こっただ!」
「収穫出来なかったのだって、双子のせいだ!」
「忌み子なんか置いてるところなんか、信用出来ねぇ!!」
こんな声も上がるし、段々収拾も付かなくなってきている。
こんな罵声浴びせられても私は平気だけど、小十郎は段々と俯きがちになってきているし、
言葉の一つ一つが心に突き刺さってるのが見てるだけでよく分かる。
無論、周囲もこんな小十郎の様子には気遣うような目で見てるし……
ひょっとしたら、この面倒臭い性格をしている小十郎は、自分のせいだなんて思ってるのかもしれない。
小十郎の頭を一発叩いて顔を上げさせる。
「馬鹿、根拠の無いことを信じて落ち込んでるんじゃないの。アンタが傷つくことじゃない。
大体双子が揃ってるからっていちいち災い起こってたら、今頃日ノ本無くなってるっての」
「……分かっております。分かっておりますが」
納得出来ないという顔の小十郎の頭をもう一度叩いておく。
「私の言うことと、農民の言うこと、どっちを信じるの?」
「……無論、姉上ですが」
「なら信じなさい。アンタのせいじゃない、アンタが悪いんじゃない」
悪いのは寧ろ、私の方だ。まぁ、それはここじゃ言わなかったけどね。
こうなってしまっては収拾がつかない。一戦交えることになりそうだ。
だから、竜の右目にはしっかりしてもらわないと困っちゃうわけよね。
「Shut up!」
政宗様の一喝にその場がシーンと静まり返る。
いつも怒って帯電するのは小十郎なんだけど、今日は政宗様の身体からも雷がパチパチと放たれて
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