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冥王来訪
第二部 1978年
ソ連の長い手
ミンスクハイヴ攻略 その2
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に挟み、火を点ける
「彼は、元々地対空ミサイルの専門家で、専門的な知識が足りぬ点もあります。
それに年齢も年齢です。妙に警戒されても困ります」
男も同様に紙箱より、タバコを取り出す
窓の方へ、再び向き直る
「分かった。何かあれば、俺の所に持ち込んで来い」
紫煙を燻らせながら、応じた
「話は変わるが、嬢ちゃん、来年の正月で12歳になるんだろう」
男の言葉を耳にして、彼は血が引くような気がした
この人物の底知れぬ深さに、恐怖を感じた
「御存じでしたか……」
彼の言葉に、不敵の笑みを浮かべた
「君は、今回の出征に関して責任を感じている様だが……、生き急ぐ必要もあるまい。
花嫁姿を一目見てから、泉下(せんか)の待ち人の元へ行くのは遅くはあるまい……」
そう言うと、タバコを灰皿に押し付ける
「内々で決まった事だが……、今年の9月にブル選と住民投票をやる事になった。
恐らく大敗する……。
SEDは、所詮占領政策の忌み子だ……。ひっそりと役割を終えられれば良いと思っている」
男はそう漏らすと、再び部屋の中を歩き始める
「遠からぬ内に、総辞職。俺は政治局から降りることに、成るであろう」
窓辺で立ち止まると、屋外に視線を移す
「任期中に、壁を取り払う手続きだけはしておいてやるよ……」
窓外の景色を見た侭、振り返らず応じる
 その言葉を聞いた後、彼は、敬礼して部屋を後にした

 ポツダムの参謀本部への帰路、一人悩む
愛娘、ウルスラの事をふと思い描く
この数年来、彼女は妻の実家にほぼ預けたままで暮らしていた
軍務で昼夜を問わず働いているのも大きかったが、国家保安省の目から守るために隠していたのも事実
 自分を執拗につけ狙ったクレムリンの茶坊主・シュミットの死
それを持っても、未だ恐怖心が拭えない

 今回の作戦は、是が非でも成功させねばなるまい
地上に残る最後のハイヴとはいえ、白ロシアの首都ミンスク
東欧の最前線ポーランドの目と鼻の先なのだ
唇亡歯寒(しんぼうしかん)の間柄である、東欧諸国へのBETA侵略……
 今、まさに(いにしえ)のドイツ騎士団の姿と自身の立場を重ねる
蒙古の侵略軍にワールシュタットの戦場で打ち破られた後、その災禍に苦しめられた
 遠い極東の日本では、勇敢な戦士達によって水際で侵略を防ぎ切ったと聞く
10万の軍勢を一度の海戦で消滅させた猛者(もさ)
国力盛んなロシア帝国と相対しても、(ひる)まず打ち破った
 その彼等が、先次大戦の時と同じように我等に力添えをしてくれているのだ
あの頼もしいゼオライマーという、超兵器(スーパーロボット)
木原という青年が、そのマシンを持って欧州に来なければどうであったろうか……
 美しい山河や、満々(まんまん)(たた)えるバルト海、今
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