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俺様勇者と武闘家日記
第2部
スー
目指せ大山脈
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 ユウリが感心したように言うと、ジョナスは得意気に集めたものを広げた。
 ていうかこれ、スー族の人皆食べてるんだ……。ジョナスの娘さんが大きな毛虫を食べてる姿を想像して、私は複雑な気分になった。
 私たちはすぐに焚き火を焚いて、食事の準備を始めた。すでに辺りは暗くなり始めていたので、用意していた聖水を周辺に撒き、魔物避け対策をする。
 準備が終わったところで、早速ジョナスが手に入れた生き物を次々と解体していく。その手さばきは見事としか言えなかった。今までの野宿ではユウリが主に獣を捌いていたが、彼以上にジョナスは手馴れている仕草だった。
「随分手際がいいな。勉強になる」
 近くにいたユウリも思わず見入ってしまうほどだ。
 処理した食材を火で炙り、ほどよく焼けたところで皆に配る。私が採取した木の実や果実も均等に配った。
「いただきまーす!」
 私は串焼きにした蛇の肉に齧りついた。確かに鶏肉などより淡白だが美味しい。普段とはまた違う野営での食事に、私は感動を覚えた。
 食事を終えると、皆早々に片付け始め、夜の見張りの順番を決めることに。ルカ以外の三人で決めようとしたのだが、
「おれも見張りやります!」
 そう声を張り上げて言ったではないか。私はルカには相当負担になるのではないかと思っていたが、しばらくしてユウリが「わかった、四人で交代しよう」と言い出したので、不承ながらも彼の意見に従うことにした。
 相談した結果、ルカ、ユウリ、私、ジョナスの順に見張りを行うことに。
 後ろ髪を引かれる思いでルカを残し、私たちはテントの中に入る。するとすぐにジョナスは横になり、
「私、先に寝る。ミオ、交代の時間、起こす」
 そう言って私の返事を待たずにさっさと寝てしまった。
 うーん、私も見張りの番まで時間あるし、一眠りしようかな。でも、ルカのことも気になるし……。
 ふとユウリの方を見ると、彼はテントの向こう側に座っているルカをじっと見ているではないか。
「ユウリもルカのことが心配?」
「ー!」
 ルカに聞こえないように小声でユウリに話しかける。ユウリは視線だけをこちらに向けた。
「……初めてだろう、見張りは」
 確かにルカは今日初めて見張りをする。無表情なので感情は読み取れないが、ユウリが他人をこんなに気に掛けるのは、珍しいことではないだろうか。この大陸に来てからよく彼はルカと一緒に行動することが多かったし、何か心境の変化があったのかもしれない。
「ここは俺が見てるから、お前は先に寝てろ。時間が来たら叩き起こすからな」
「もう、物騒なこと言わないでよ」
 そんな軽口を私に言ってくれるようになったのも、ここ最近だ。文句をいいながらも、ユウリが私やルカたちに対して少しずつ心を開いてくれていることが嬉しかった。
「ありがとう。じゃ
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