第2部
スー
目指せ大山脈
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あるが、それが一番早く渡れる方法なのだろう。
早速ジョナスは、野宿しやすい場所を探し始め、ユウリはその辺にある長い木の枝を拾い始めた。
五日目ともなると、皆野宿に対して慣れたものだ。私も何か使えるものはないかと辺りを見回していると、視界の端に疲れた顔をしてぼーっと立っているルカの姿が見えた。
「ルカ。疲れたならそこで休んでなよ。あ、それとも喉乾いた?」
「……おれも手伝う」
私の言葉を無視し、ルカはユウリの近くで一緒に木の枝を拾い出した。
……なんだか無理をしている気がする。
急に見知らぬ土地で、しかも人の手が入らないような場所ばかり歩き続けてるんだ。弱音くらい吐いたっていいのに。
ジョナスの見つけた場所に移動したあと、各自夜営のための準備を進めた。その間もルカはずっとユウリの側で一緒に作業をしていた。
「もう、持ってきた食べ物ない。私、今から食糧集める。皆、ここで待つ」
「あ、待って、私も行くよ」
ちょうど手が空いていたので、私もジョナスについていくことにした。
食糧調達のため野営地から少し離れた林に向かうと、ガサガサと草の擦れる音がどこかから聞こえてきた。ジョナスは音のした方に足を向けると、姿を確認することなくいきなり手にしていた斧を振り下ろした。
ドスン、という音とともに、草むらの中から赤い液体が流れ出てきた。それが血液だということは一目見て理解できる。
そして、ジョナスは躊躇なく草むらに手を突っ込んだ。取り出したのは一匹の大きな蛇だ。 あの一撃で頭を切り落としたらしく、首のない体だけがジョナスの腕に絡み付いている。
「すごい!! その蛇って食べられるの?」
「ああ。毒ない。味、とてもおいしい」
見たことのない模様の蛇なので毒があるか心配だったが、地元のジョナスが言うんだから間違いない。
それからもジョナスは次々と色んな生き物を狩って行った。しかし、蛇や蛙、鼠などならまだいい方だが、たまに大きな虫を持ってきたときは、思わず悲鳴を上げてしまった。
「そそそそれって食べられるの!? さすがにそのままは無理だよね?!」
「周りの毛と足、全部取る。そのまま食べられる。でも、嫌なら茹でて食べる」
「え、遠慮します……」
さすがに大きな毛虫のような見た目だと食べる気が起きない。結局虫系はジョナスに食べてもらうことで納得してもらった。
一方私は、近くに生えている木の実や植物を採取することにした。ジョナスに教えてもらううちに、食べられるものとそうでないものの見分け方は身に付けられるようになった。
ユウリ達のところに戻ると、すでに準備は終わっていたようで、簡易テントの前で二人して何やら話している。
「随分たくさん集めてきたな。全部食べられるのか?」
「大丈夫。スー族、いつもこれ食べてる」
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