暁 〜小説投稿サイト〜
Fate/WizarDragonknight
スワンプマン
[1/6]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
「何なのあれ!? 何がどうなってるの!?」

 美樹さやか。
 幼馴染の少女が、自分の手を引きながら叫ぶ。
 春休み。彼女と二人でただの散歩に来たつもりだったのに、まさかこんな怪物に狙われることになるとは思わなかった。
 まどかは息を切らしながら、追いかけてくる怪物、ゴングリーを見返した。
 木々など存在しないかのように迫って来る怪物は、どんどん距離を詰めていく。

「ど、どうしようさやかちゃん! そ、そうだ! ハルトさんに連絡……!」
「まどか! 前!」

 だが、さやかの叫びは手遅れだった。
 ゴングリーの放たれた触手が、まどかの手からスマホを叩き落とす。さらに、そのまままどかへ接近してきた。
 その巨体からは想像できない速度で、どんどんまどかたちに近づいてくる。
 その時、まどかはゴングリーとさやかを交互に見比べる。心なしか、さやかの目がいつもよりも青く輝いているようにも見えた。
 そして、ゴングリーの触手。振り回すだけではなく、直進で放ってきたそれは、地面を伝ってまどかの足を掴む。

「えっ!?」

 それは、まどかの体を引きづり、そのまま吊るし上げた。さやかの手が離され、まどかの体が完全にゴングリーのものとなる。

「まどか!」

 振り回されながら、悲鳴を上げるさやかの姿を見下ろす。
 振り子のように揺れ動く視界。
 一巡目は、うろたえるさやか。
 二巡目は、何かを決意したさやか。
 そして三巡目。
 鋭い剣、レイピアを握ったさやか。

「え……!? えっ!?」

 いつの間に、どこからどうやってそんなものを。
 その疑問がまどかの中に去来するよりも前に、さやかがレイピアを突き出す。
 すると、水の弾がレイピアの動きに沿って放たれた。無数の水の弾は、ゴングリー本体とその触手を弾き飛ばし、動きを大きく鈍らせた。
 触手は大きく弾かれ、まどかの拘束を離す。空中に放り投げられたまどかの体を抱き留め、そのまま着地した。

「まどか、平気!?」
「う、うん……さやかちゃん。今のは一体何?」

 そう言っている間にも、さやかの手に握られるレイピアの周囲には、水滴が漂っている。
 不思議な力に目を丸くするまどかだが、さやかは目を泳がせていた。

「それは……それよりも逃げるよ!」

 さやかに再び手を引かれながら、まどかは走っていく。
 だが、足場が悪い森を逃げ場に選んだのは、遮蔽物が多いから。だが、ゴングリーに通用しない時点で、もう森で逃げるのは悪手でしかない。
 急いで開けた場所に行こうとさやかが先導してくれるが、とても逃げ切れるとは思えない。
 だんだん追いついてきたゴングリー。
 そして、その巨体が、まどかたちを押しつぶそうとするその時。

 突如、森
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ