暁 〜小説投稿サイト〜
Fate/WizarDragonknight
スワンプマン
[5/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ングリーの体に絡みつくワイヤーが一斉に解ける。すると、ゴングリーに接触した衝撃で、無数の手榴弾が同時に爆発。
 連発していく爆発。人類が作り上げた凶器により、巨体を誇るゴングリーの肉体は、雨粒を弾き飛ばす勢いで、粉々となって消えていった。

「へえ……」

 マーメイドは、静かに手を叩いた。

「お疲れ様、転校生」
「……」

 マーメイドの言葉に、ほむらは答えない。
 ただ静かに、マーメイドに銃口を向けた。

「貴女は誰? 本当に美樹さやかなの?」
「……本当に美樹さやかなの、か……」

 マーメイドは肩を窄めた。その姿が、水を切ったように裂かれていき、もとのさやかの姿に戻った。

「ま、一応モノホンの美樹さやかのつもりだけど……でもまあ、そんなこと本人以外に分かるわけないよね」
「ふん」
「仮にあたしが美樹さやかでないとして。外見も記憶も感情も、全部美樹さやかと同じ。これって、はたして本物のわたしと言えないのかな?」
「スワンプマンの理論は止めなさい」

 ほむらは吐き捨てた。

怪物(ファントム)なら、殺すわ」
「待ってほむらちゃん!」

 殺意を見せるほむらを、まどかは横からなだめる。
 彼女が銃を下ろすのを確認してから、まどかはマーメイドの前にも立った。

「ほ、ほら! 二人とも、仲良く! 仲良く、しよう?」

 まどかの震える声。
 だが、ほむらは改めて左手の盾に手を突っ込み、さやかも再びレイピアを引き絞る。

「どきなさい、まどか」
「そこ、危ないよ!」

 ほむらとさやか。
 それぞれの得物を互いに向け、しばらく黙る。
 ピリピリとした空気が夕方の森を支配する。
 やがて、その沈黙を破ったのは、茂が揺れる音だった。

「何!?」

 驚いてまどか、ほむら、さやかの三人は同時に顔を向ける。
 揺れる茂。ただの小動物だろうが、思わず固まってしまった三人。
 やがて茂から出てきたのは、
 黄色とオレンジ色が入り混じったような、軟体生物。もぞもぞと動き出したその体には、硬そうな甲羅が背負われていた。黒いつぶらな瞳。小さすぎて口が見えないのだろうか。
 だが、そのアンバランスさが。

「か、可愛い……」

 まどかが思わず目をキラキラさせながら言った。
 さやかが「これ可愛いか?」と驚いているが、可愛いものは可愛い。
 まどかはそう思い、謎生物を抱き上げようとする。
 その時、

「っ! 危ない!」
「へ?」

 油断した。
 目の前の謎生物より放たれた触手が、まどかに突き刺さろうとしていたのだ。
 ほむらに突き飛ばさなければ危なかった。
 謎生物___それが聖杯戦争の参加者であることなど、同じく参加者であるほむらが知る
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ