スワンプマン
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ングリーの体に絡みつくワイヤーが一斉に解ける。すると、ゴングリーに接触した衝撃で、無数の手榴弾が同時に爆発。
連発していく爆発。人類が作り上げた凶器により、巨体を誇るゴングリーの肉体は、雨粒を弾き飛ばす勢いで、粉々となって消えていった。
「へえ……」
マーメイドは、静かに手を叩いた。
「お疲れ様、転校生」
「……」
マーメイドの言葉に、ほむらは答えない。
ただ静かに、マーメイドに銃口を向けた。
「貴女は誰? 本当に美樹さやかなの?」
「……本当に美樹さやかなの、か……」
マーメイドは肩を窄めた。その姿が、水を切ったように裂かれていき、もとのさやかの姿に戻った。
「ま、一応モノホンの美樹さやかのつもりだけど……でもまあ、そんなこと本人以外に分かるわけないよね」
「ふん」
「仮にあたしが美樹さやかでないとして。外見も記憶も感情も、全部美樹さやかと同じ。これって、はたして本物のわたしと言えないのかな?」
「スワンプマンの理論は止めなさい」
ほむらは吐き捨てた。
「怪物なら、殺すわ」
「待ってほむらちゃん!」
殺意を見せるほむらを、まどかは横からなだめる。
彼女が銃を下ろすのを確認してから、まどかはマーメイドの前にも立った。
「ほ、ほら! 二人とも、仲良く! 仲良く、しよう?」
まどかの震える声。
だが、ほむらは改めて左手の盾に手を突っ込み、さやかも再びレイピアを引き絞る。
「どきなさい、まどか」
「そこ、危ないよ!」
ほむらとさやか。
それぞれの得物を互いに向け、しばらく黙る。
ピリピリとした空気が夕方の森を支配する。
やがて、その沈黙を破ったのは、茂が揺れる音だった。
「何!?」
驚いてまどか、ほむら、さやかの三人は同時に顔を向ける。
揺れる茂。ただの小動物だろうが、思わず固まってしまった三人。
やがて茂から出てきたのは、
黄色とオレンジ色が入り混じったような、軟体生物。もぞもぞと動き出したその体には、硬そうな甲羅が背負われていた。黒いつぶらな瞳。小さすぎて口が見えないのだろうか。
だが、そのアンバランスさが。
「か、可愛い……」
まどかが思わず目をキラキラさせながら言った。
さやかが「これ可愛いか?」と驚いているが、可愛いものは可愛い。
まどかはそう思い、謎生物を抱き上げようとする。
その時、
「っ! 危ない!」
「へ?」
油断した。
目の前の謎生物より放たれた触手が、まどかに突き刺さろうとしていたのだ。
ほむらに突き飛ばさなければ危なかった。
謎生物___それが聖杯戦争の参加者であることなど、同じく参加者であるほむらが知る
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