新条アカネ
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を見つけた。
「あ……」
アカネはそれを手に取る。間違いようもない。ムーンキャンサーに与えた、黄色い雨合羽だった。
「どこ!? どこにいるの!?」
アカネの声に、ムーンキャンサーは答えない。
「トレギア! ムーンキャンサーはどこ!?」
「さあ? どこだろうね……?」
アカネの問いに、霧崎はにやりと口元を歪めた。
「どうやらお転婆のようだからね。全く、マスターとは大違いだ」
「……っ!」
その言葉に、アカネは目を吊り上げた。
雨合羽を振り上げ、そのまま霧崎に投げつける。
「おいおい……何を怒っている?」
「うるさい! もともとトレギアが言い出したんでしょ! 散歩でもすればいいって」
「おいおい……人のせいにしないでくれ。君の管理能力が成っていないからじゃないか」
アカネがむすっとしていると、木々の合間から、さっきの桃色のツインテールの少女がアカネの目に入った。
「……そうだよ。アイツのせいじゃん。あんなに友達と幸せそうに笑っていて……!」
「ひどい言いがかりだ」
アカネの語気が、後半に連れて強くなっていく。
そして。
「トレギア!」
「何だい?」
「怪獣出して! さっき作った奴……はまた調整するから、その前に作ったやつ!」
「やれやれ……全く、困ったお姫様だ」
霧崎はそう言って、発生した闇に手を突っ込む。彼が手を戻せば、昼頃までアカネが机の上で作っていた茶色の人形が握られていた。
「これかい?」
「そう! それ! アイツ、殺そうかなって……」
血走った目で、ツインテールの少女を睨むアカネ。彼女は、青髪の友人が近くの休憩所に走っていくのを見届けて、ベンチで一人休憩を取っている。
「ムーンキャンサー見失ったのアイツのせいでしょ? それなのに一緒に探してくれないのなんて非常識だよ。でしょ? じゃあ、よろしくー」
それまでは憂鬱そうにしていた時とは真逆に、アカネが浮かべた純粋な笑顔。それまでは言葉をしゃべることもなかったのに、怪獣を取り出した時のみ、アカネは口を流暢に動かせる。
そして。
「まあ、構わないけどね」
霧崎は、人形を無造作に放り投げた。即座に彼の右手から発せられた蒼い雷が人形を貫通。
「インスタンス アブリアクション」
すると、人形が変わっていく。
茶色一色だった胴体は、光沢が入った銀色へ。下に至るまでに大きくなっていく胴体の中心には、赤い血管のようなものが刻まれていた。
そして、人間ならば腕に当たる部分。それは、黄色の触手となり、鞭のようにしなっていた。
「ツインテールのような体形だな。それで? あの怪獣の名前は?」
「ゴングリー! あのツインテールを殺して
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