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俺様勇者と武闘家日記
第2部
スー
白い馬のエド
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顔を出してきた。どうやら私たちが話をしている間に馬小屋の掃除をしていたようだ。
「ああ。紹介してくれてありがとう。これで先に進める」
「なら、良かった。何かあるとき、呼ぶ。私、助ける」
 先程の殺気はどこへやら。朗らかな笑顔を向けるジョナスは、目が合って早々にユウリに勝負を挑んだ人とは思えなかった。
「なら一つ聞きたい。浅瀬の祠に行く前に、ここから南にあるアープの塔とやらに行こうと思ってるんだが、どうやって行ったらいいかわかるか?」
 どうやら先にアープの塔に行くつもりらしい。ちょっとは私にも相談すればいいのにと思ったが、その前にユウリが先に決めちゃいそうなので意味がないなと悟った。
「アープの塔、大山脈越えた先、ある。でも道、険しい、迷う。道案内、必要」
「大山脈を越えるには、道案内が必要なの?」
 私が聞き直すと、ジョナスは深く頷いた。
「大山脈、とても危険。運悪い、風の神に連れ去られるか、魔物に襲われる」
 隣でエドも心配そうにうなずく。
「この土地に慣れない人間にとっては、大山脈は過酷でしょうね」
 その一言に、周りの空気が重くなる。
「なら、私、案内する。大山脈、詳しい」
 手を上げたのは、ジョナスだった。私たちは丸くする。
「それは助かるが……いいのか?」
「ユウリ、私より強い。強い人、スー族では、尊敬の対象。助ける、当然」
「……なら、道案内を頼む」
 スー族では、自分より強ければ、他所の国からきた人でも尊敬されるようだ。ユウリもまんざらではない様子で了承した。
「今日は、もう遅い。明日、出発する。今夜は私の家で、休む」
「ジョナスの家に行っていいの?」
「もちろん、ユウリの仲間なら、助けるの当然」
 私が意外そうに聞くと、ジョナスは当たり前のように頷いた。なんていい人なんだろう。
「私、先に行く。妻にユウリたちのこと、伝える。皆は、ゆっくり来る」
 そう言い残すと、ジョナスはさっさと先へ行ってしまった。
 なんてありがたいんだ。奥さんにも私たちのことを伝えるなんて……。
「えっ!? ジョナスって、結婚してるの!?」
 当人がいなくなってから、私は彼の新たな事実に思わずツッコミを入れてしまったのだった。


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