第2部
スー
白い馬のエド
[3/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
教えてくれるアイテムに興味はありますか?」
「……そんなアイテムが本当にあるのか?」
瞬時にユウリの目の色が変わる。彼は早く続きを話せと言わんばかりに、エドの馬面に極限まで詰め寄った。
「ここから南、大山脈を越えた先に、『アープの塔』と呼ばれる塔があります。そこで私は人々の生活の改善のため、様々なアイテムの研究をしていたんですが、そのアイテムだけはどうしても売れそうにないと思いましてね、売らずにそのままその塔に置いてあるんですよ。良かったら、持っていってください」
「……さすがだな。そんなものまで作れるとは」
「これでも昔は三賢者の一人に数えられてましたからね。魔法と技術を組み合わせれば色んなものを作れますよ。なかでも個人的にお薦めなのが、歩くと自動的に描く世界地図とか……」
「えっ!? あの地図って、エドさんが作ったんですか!?」
私はユウリに顔を向けると、やれやれという風に鞄から世界地図を取り出した。
「おお!! まさしくこれは私が作った世界地図! 昔方向音痴の旅人に頼まれて作ったんですよ。まさかこんな形で再会できるとは!」
エドはご機嫌のあまり鼻息を荒くしながらユウリが持つ世界地図を凝視している。直に触ることが出来ないのがもどかしそうだ。
それにしても、アリアハンにある誘いの洞窟で見つけた地図を作った人がエドだなんて、不思議な因果もあるものだ。それだけエドが残してきた功績は、私たちの生活において身近なものなのだろう。
「三賢者ということは、イグノーって奴のことは知ってるか?」
ユウリの問いに、私ははっと思い出した。そういえば、テドンでカリーナさんが言っていたイグノーさんも、三賢者だった。
「ああ。あの自分の能力を過大評価している方ですね。知っていますよ」
あれ? イグノーさんってそんな人だったの? カリーナさんの話と大分イメージが違うんだけど。
「確か勇者サイモンと共に魔王を倒しに行ったとか。でも結局未だに魔王が顕在しているということは、志半ばで力尽きたということでしょうね。で、彼が何か?」
言ってることは間違ってはいないが、どこか刺々しい言い方で話すエド。イグノーさんとの間に何かあったのだろうか?
……ここはあまり触れない方がいいのかもしれない。
「……いや、ただ少し気になっただけだ」
ユウリもあえて言うのをやめたようだ。
「ああ、そうそう。もし塔に着いたら、私の名前を思い出してください」
「どういうことだ?」
訝しげに尋ねるユウリに対し、エドは笑うように大きな瞳を彼に向けた。
「どういうことも何も、そのままの意味です。行けばわかると思いますよ」
「……?」
結局エドはこれ以上何も言わなかった。
「話、終わったか?」
丁度タイミング良く、ジョナスが馬小屋の奥からひょっこりと
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ