第2部
スー
白い馬のエド
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も、どうしてそんなに何でも知ってるんですか?」
私の問いに、エドは表情に影を落としながら目を伏せた。まずい、もしかして聞いちゃいけない質問だったんじゃ……。
「……信じてもらえないと思いますが、実は私はもともと人間だったのです」
「人間!?」
予想外の答えに、私は驚愕の声を上げた。
「もしかして、魔物に姿を変えられでもしたのか?」
代わりにユウリが尋ねると、エドはゆっくりと頷いた。
「ど、どういうことです? 魔物が人間を馬に変えるだなんて……」
ルカもにわかには信じがたい表情でユウリに聞くが、答えたのはエドだった。
「正確に言うと、魔物の力ではなく、私が作ったあるアイテムの力なんですよ。けれどそのアイテムを魔物に奪われてしまい、逆に私が変化させられましてね、以来ずっとこの姿のままなんです。皮肉なものですよ」
つまり、エドが自分で作ったアイテムを使って魔物を変化させようとしたら、反対に自分が馬に変えられたってことらしい。エドの口調は軽いが、オルテガさんと出会うほど昔にそんなことがあったのだとしたら、なんてひどい話なんだろう。
「生き物を別の存在に変化させられるアイテムなんて、俺が知ってる文献にも載っていなかったが……、本当に可能なのか?」
「理論上は可能ですよ。ただ、技術的に問題があるので、量産は無理でしょうね」
馬なので表情は読み取れないが、乾いた言葉が響く。
「どうせ今のこの姿のままでは元の姿に戻れませんからね。ただ、もし本当にあなた方が魔王を倒してくださるのなら、私の姿を変えたあの魔物から、『変化の杖』を取り戻していただけると助かります」
「結局元に戻りたいのかどっちなんだ」
「私もかつては人間の身でしたからね、死ぬ前くらいは本当の姿で過ごしたいんですよ」
はあ、とユウリは深くため息をつく。こういうときは大体彼の行動は決まっている。
「その『変化の杖』を奪った魔物の手がかりはわかるのか?」
「それが分かれば今ごろこんなところにいませんよ。ただ、相手は翼を持たないので空を飛ぶことは出来ません。おそらくこの大陸のどこかにはいると思います」
「……あくまで魔王を倒すついでだからな。期待はしない方がいい」
「それはつまり、探してくれるということですか?」
弾むようなエドの声に、閉口するユウリ。だがそれが肯定を意味しているということは、この場にいる誰もがわかることだった。
「期待していますよ、真の勇者となる者よ」
「……ふん」
エドの言葉には、不思議と信頼感があった。何故かはわからないが、彼の紡ぎだす言葉は全て真実のように聞こえる。
「そういえば、あなた方は『オーブ』の存在を知っていますか?」
「ああ。まさにそのオーブを手に入れるため、最後の鍵を探している」
「なら話は早い。オーブの在りかを
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