暁 〜小説投稿サイト〜
少女は 見えない糸だけをたよりに
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「カナミ 店長って 不思議な人でしょ」と、暁美さんが言ってきた。

「そうですね でも 上品で感じの良い人ですね 若いのに大人の雰囲気」

「でしょう? 店長って4時になると必ず、出て行ってしまうでしょ よそで働いているみたいなのよ 割烹のお店 大学の時かららしいわ それにね ここのお店のオープン前に、ちょこちょこ年上の男の人が来てね いろいろと、調理場のこと指示してたわ あれは、パトロンよ あー 店長には、このこと内緒ね」

「暁美さん パトロンってなんですか?」

「へぇー 知らないんだー あのね 男と女の関係になって、お金出してもらうことかなー」

「男と女の関係?」

「そうよ 男に抱かれるかわりに、お金出してもらうの ここの開業資金だってわかんないわよ」

 暁美さんは、店長があの大きなお屋敷の娘さんだってことは、知らないのだろう。私は、店長はそんな人じゃぁないわと思ってけど、私が、あのお屋敷に呼ばれたことは内緒にしていた。

 5時少し前になって、お店はくるみちゃんとふたりだけだったんだど

「来たわよ ねぇ カナミ あの人 絶対、カナミ目当てだから カナミ 奥へ行ってみな 一回とおりすぎるから― 奥を覗く様にしてね そして、又、戻って来るヨ 注文はいつもランチョンミートとチーズ」 

 私は、店の奥から見ていたら、大きな人。肩なんかも、盛り上がっている。確かに、お店の前を通り過ぎて行った。奥を覗くように・・。私、眼が会ってしまった。そして、戻ってきて、注文していた。ランチョンミートとチーズの組み合わせ。

「どうぞ 寒いですから お店の中で食べて行ってください」と、くるみちやんが誘いをかけた。

「うー いいです 恥ずかしいから」と、見かけによらず小さな声で・・

「今 誰も居ないですよ どうぞ」と、くるみちゃんはしつこかった。

 ても、「失礼します」と、その人は入ってきた。私は、お水をコップに入れて、持っていって「外は 寒いでしょう もう、暗いしね」と愛想良くしたつもり。その人は下を向いて「はぁー」と、言った切りだった。くるみちゃんは、焼けたクレープをわざわざ私に「ほれっ」と渡してきた。

「どうぞ ごゆっくり」と、言ったものの、食べるのをみていちゃぁ悪いと思って、私は、流し台を必要もないのに洗っていた。

「うまい ですね コレ」と、突然、声を大きくして、その人がしゃべった。誰に向かってだろう。私と、くるみちゃんは驚いたように目を見合わせていた。くるみちゃんは、私に向かってあごをしゃくるように・・「なんか 言いなさいよ」と、言いたげだった。

「あっ ありがとうございます」と、言った時には、もう、食べ終わるみたいで

「もうひとつ もう一つ 注文してもいいですか」と、
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