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冥王来訪
第二部 1978年
ソ連の長い手
牙城 その3
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う俺を必要としめえ、(けえ)らせてもらうぜ。お前さんらの熱々の話を聞いていたら、酒どころじゃあるめぇよ」
そう答えるとその場にへたり込んだ
その様を呆れる様に、ヤウクは一言漏らす
「相変わらずカッフェは酒に弱いな。もう飲ませない方が良いぞ」
彼女は皮肉を伝える
「酒豪と家庭を持ってる人が意外ね」
「いや、関係ないから……」
しばし唖然としながら、妻の顔を伺う
悪びれることなくヤウクと談笑する姿を見て、大きな溜息をつく

 店外で、ボルツ翁の迎えを待っていると、遠くより男の叫び声がした
「申し!」
彼等は、そちらを振り返る
「こ、こんな所にいましたか……、探しましたよ」
勤務服姿のクリューガー曹長が駆け込んでくる
立ち止まり、深く息をつく
「のんびり遊んでいられなくなりそうです」
顔を上げ、彼等の顔を伺う
「如何やら、ボンとの合同作戦が既定(きてい)の様です」
ヤウクは、右の食指と中指で握っていたタバコを落とす
「そ、それじゃあ……」
手で、顔の汗を拭う
「ええ、ハイム参謀次長が動いたと言う噂ですがね」
真剣な面持ちに改める
「間違いないでしょう」
ユルゲンは、ふと漏らす
「い、いよいよか……」
そっと、ベアトリクスが右手に腕を絡ませてくる
 思い起こせば、先ごろのロンドンでの米ソ首脳会談
社会主義圏内における西側軍隊の活動容認とも取れる外交的妥協
米国の仲介の下での日本帝国軍との接触……
今、ミンスクハイヴ攻略という事を入り口として祖国統一の悲願への道筋
大きく動く事態に、彼の心は決まっていた
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