暁 〜小説投稿サイト〜
昔の男
第四章
[1/2]

[8]前話 [1] 最後
「専務も喜んでおられた」
「そうだったのね」
「流石だとね」
「お父さんのやり方もなのね」
「いいと言ってくれた、やっぱり仕事はな」
「脚でやるものなの」
「会って話してな、インターネットよりもな」
 それを駆使するよりもというのだ。
「ずっとだ」
「実際に歩いてなの」
「そうしてな」
 会って話してというのだ。
「結果を出すものなんだ、机に座ってばかりでもな」
「ことは成らないのね」
「そういうことだ、じゃあ母さんにな」
 今度は母のことに言及した。
「チョコレートケーキをな」
「お母さん今お風呂よ」
 父にそれはと答えた。
「だからね」
「今はか」
「後で渡してね」
「そうするな、じゃあ今から飲むか」
「ワインね」
「だからビールだ」
 仕事が終わって家に帰って飲む酒はというのだ。
「飲むのはな」
「お母さんがそう言ってるの?」
「母さんはいつも頷いてくれるだろ」
「痛風になるけれどいいの?」
「そこでそれ言うか」
「この前身体検査で尿酸値高かったのよね」
「それでもだ」
 父は怒って言った。
「こうした時はワインじゃない」
「ビールなのね」
「飲むぞ、今日も元気だビールが美味い」
「お仕事上手くいったし」
「尚更だ、じゃあ自分で冷蔵庫空けて飲むな」
「それで痛風になって元気でなくなるのね」
「お前そんなこと言ってると結婚出来ないぞ」
 冷蔵庫に向かう途中で足を止めて娘に言葉を返した。
「性格と口が悪くて」
「お父さんにしか言わないから」
 娘はリビングでくつろぎつつスマートフォンでウエブ小説を読みつつ答えた。
「安心して」
「わしだけか」
「父親だから言うのよ」
「痛風のこともか」
「本当に気をつけないといけないわよ」
 痛風のことはというのだ。
「物凄く痛いらしいから」
「わし等の歳になるとなる人が多いな」
「もう肩と肩が触れた位で泣く位痛いから」
「だからか」
「ビールが一番怖いからね」
 痛風にはというのだ。
「まあそうなってもいいならいいけれど」
「ワインにするか」
 父もここで考えをあらためた。
「そうするか」
「そうした方がいいわね」
「そうだな、今日も元気だワインが美味いか」
 父はやや面白くなさそうに述べた。
「そうするか」
「そういうことでね、というかお風呂からあがってから飲んだ方がいいわよ」
「ではまずは晩飯食うか」
「冷蔵庫にお刺身あるしお味噌汁あっためてね」
「そうするな」
 娘の言葉に頷いてだった。
 父は夕食を食べて母にチョコレートケーキを渡して風呂に入った、それからワインを飲むがここでまた言った。
「美味いな」
「それは何よりね」
「ああ、これからは健康に気をつけないと駄目か」

[8]前話 [1] 最後


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ