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人を増やす方法
第一章
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               人を増やす方法
 パプアニューギニアのキワイ族の話である。
 人間には男と女がいた、だがそれだけで増えることはなかった。その為人々は増えていく他の生きもの達を見て羨ましいと思った。
「他の生きものは増えていく」
「獣も魚もだ」
「鳥もそうだ」
「野菜や果物ですらそうだ」
「だが我々だけ増えない」
「人間だけがそうだ」
「どうしたら増えるのだ」
 人々はこうも考えた。
「増えてもっと賑やかになりたい」
「折角この世にいるからな」
「しかもどんな生きものも死ぬ」
「死なない生きものはいない」
「これでは我々はいなくなるぞ」
「折角この世にいるというのに」
 こうも思うのだった。
「このままいなくなるのか」
「やがて誰もが死んで」
「折神々が我々を創ってくれたのに」
「そうなってしまうの」
「それは残念だ」
 非常にというのだ。
「そうなってしまっては」
「これは何とかしたい」
「どうにかして増えたい」
「我々もそうなりたい」
「子供を作ってそうしたい」
「だがどうしたら出来る」
「生きものはどうしたら増える」
 このことは人は知らなかった。
「一体」
「他の生きものは増えるが」
「どうして増えるのだ」
「そして人間も増えることが出来るのか」
「子供が生まれるのだ」
「人間はどうしたら増えるのだ」
 人々は必死に考えた、しかしそれでもだった。
 答えは出なかった、それでだった。 
 人々はキワイ族の偉大な英雄であるマルノゲレ、長身で筋骨隆々の大男で黒い肌に叡智に満ちた目を持っている。面長な顔も逞しい彼に尋ねた。何故なら彼は勇敢なだけでなく素晴らしい頭脳も持っているからだ。
 それで人々は言った。
「我々も増えたい」
「人間もそうしたい」
「一体どうしたら増える」
「増えるとしたらその増え方を教えて欲しい」
「増えないなら増える様にしたい」
「一体どうしたら増えるのだ」
「他の生きもの達はどうして増えるんだ」
 このことを聞く者もいた。
「それがわからない」
「そうだ、他の生きものは増えている」
「それなのに我々だけが増えていない」
「これはどうしてだ」
「どうして他の生きものは増えるんだ」
「それはどうしてなんだ」
「それは交尾をしているからだ」
 マルノゲレは人々に静かな声で答えた。
「だから他の生きものは増えるのだ」
「交尾?」
「交尾とは何だ」
「一体何だ」
「はじめて聞いた」
「それはどうするのだ」
「それは男の象徴を女のある部分に入れて行うものだが」
 マルノゲレはその交尾について具体的に話した。
「残念ながら人間の女にはその部分がない」
「そうなのか」
「人間の女にはないのか」
「そうな
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