第三章
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「それで」
「ああ、とても楽しかったよ」
年老いたモミの木は満足している声で答えました。
「本当にな」
「そうなんだね」
「そして最後に飾ってもらえるんだ」
「それならだね」
「こんないいことはない、それに死んでも」
「一生を終えても?」
「また生まれ変わる、その時また会ったらな」
若いモミの木に言いました。
「宜しくな」
「うん、こちらこそね」
若いモミの木は明るい声で応えました、そうしてです。
年老いたモミの木は切られてツリーになる為に人間のお家に行きました、若いモミの木は年老いたモミの木にまた会おうねと言って笑顔で別れました。
それから物凄く長い時が経ってでした。
人間達は今ではすっかりお爺さんになった若いモミの木を見て言いました。
「今年はこの木だな」
「そうだな、この木がいいな」
「もういい頃だ」
「長い間この森にあるし」
「すっかり年寄りの木になっている」
「ならこの木だ」
「この木をツリーにしよう」
こう言ってでした。
他の充分大きくなったお爺さんお婆さんの木と一緒にです。
このモミの木も切られました、そうしてある一家の家に入れ羅れて。
ツリーとして色々なものを飾ってもらってクリスマスの間お祝いの中心の中にいました。そこでは歌と踊りと笑い声がありました。
モミの木はこれがクリスマスだとわかりました、そして人々のとても楽しそうな様子を見て自分もとても嬉しくなりました、その一日の後で。
モミの木は飾りを外されて薪にされて今度は暖炉やお風呂、竈に使われて人々を暖めました。そうして一生を終えました。
するとモミの木にでした。
サンタさんが天国でモミの木に尋ねてきました。
「君の一生はどうだったかな」
「はい、とても楽しかったです」
モミの木はサンタさんに明るく答えました。
「森でずっと他のモミの木とお話出来て」
「色々な生きものを観てだね」
「その皆ともお話して自然も味わえて」
「そしてクリスマスにだね」
「ツリーに飾ってもらって」
最後にそうしてもらってというのです。
「凄くです」
「幸せだったんだね」
「はい」
こうサンタさんに答えました。
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