第一章
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新説モミの木
森はモミの木で一杯でした、人間達はクリスマスが近くなるとその中からこれはという木を選んでクリスマスツリーにしています。
そんな状況を見て若いモミの木は思いました。
「僕も早くクリスマスツリーになりたいな」
「奇麗に飾ってもらってお祝いの中に入られるからだね」
「その主役になるからね」
年老いたモミの木に答えました。若いモミの木はかなり小さいですが年老いたモミの木はかなりの高さです。
「だからだよ」
「そうなんだな」
「けれどね」
ここでモミの木は残念そうに言いました。
「人間はお爺さんお婆さんのモミの木ばかりツリーにするね」
「わし等は歳を取れば取るだけ大きくなるからな」
「そうだよね、僕がツリーになるのもかな」
「そうだよ、お前さんが大人になって」
年老いたモミの木は答えました。
「そしてだよ」
「お爺さんになってなんだ」
「そしてもう死のうってな」
「そうした時になんだ」
「これ以上はない位に大きくなっているから」
それでというのだ。
「その時にだよ」
「僕はツリーになるんだ」
「それまではここにいるさ」
「そうなんだね」
「それでそれがいいんだ」
「早くツリーになったら飾ってお祝いの主役になれるのに」
「けれどそれで終わりなんだ」
年老いたモミの木は若いモミの木に言いました。
「もうそれでな」
「終わり?」
「そう、終わりだよ」
こう言うのでした。
「一度なったらな」
「そうなんだ」
「そうだよ、そうなるのは一日だけで」
ほんのというのです。
「クリスマスが終わったら飾りは外されて薪にされるんだ」
「そうなんだ」
「そうさ、モミの木以外の木は歳を取って大きくなったら皆そうなるな」
「うん、そうなるね皆」
「木は皆そうなるんだ」
年老いたモミの木はお話しました。
「大きくなってお爺さんお婆さんになってだよ」
「それで死のうっていう時になったら」
「その直前に人間達が来てだよ」
「大きい木だからだね」
「若い木はまだ小さいから切られないんだ」
そして薪にならないというのです。
「だから爺さん婆さんになってだよ」
「そして充分に大きくなって」
「死ぬ時になってな」
「倒されてだね」
「そして細かく切られてだ」
そうなってというのです。
「薪になるんだ、他にも人間の道具や紙にもなるな」
「それが木の運命なんだね」
「そうだ、そしてな」
それにというのです。
「わし等の場合はだよ」
「モミの木はだね」
「そうなってだよ」
ツリーになってというのです。
「最後は飾りを取られて」
「薪になるんだ」
「それで一生を終えるんだよ」
「じゃあ人生の最後にだね」
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