第三章
[8]前話
「これが」
「上には上がいるか」
「この幹部候補生学校より厳しいところもある」
「そうなんだな」
「航空学生も厳しいからな」
菊地は彼等の話もした。
「こちらも幹事付なんてって感じだよ」
「赤鬼青鬼もものとしない」
「そうなんだな」
「航空学生も」
「少年自衛官並かそれ以上に厳しいから」
だからだというのだ。
「そうなんだよ」
「そう言われると俺達はまだましか?」
「防衛大学、防大も凄かったっていうしな」
「もう戦前の兵学校はこんなのじゃなかったっていうし」
「赤煉瓦の監獄だったっていうな」
「それじゃあ俺達もぼやかないでな」
候補生学校の厳しさにというのだ。
「やってみるか」
「やっていったら身に着くしな」
「それでよくもなるか」
「怒られながらでもな」
「俺だって少年自衛官になりたての頃は全く出来なかったんだ」
菊地は自分のことも話した。
「それでどれだけ怒られたか、けれどな」
「鍛えられてか」
「何度も怒られてか」
「そうしてか」
「身に着いたんだ、だから今それなりに出来ているんだ」
候補生学校の中でも怒られないというのだ、生活や訓練の中で。
「だから皆もな」
「そうだな、やっていくか」
「そうしたら出来るな」
「今は外出の時の服装検査でも引っ掛かってばかりだけれど」
「それもな」
「絶対に皆引っ掛からない様になるからな」
同期の者達に断言した、そしてだった。
分隊の者は秋も半ばになると殆ど誰も服装やベッド、整理整頓のことで言われなくなった。外出の時のチェックももう全員合格なので素通り状態となり。
皆慣れた、それで菊地は同期達に言った。
「俺の言った通りだろ」
「ああ、俺達も出来た」
「出来る様になった」
「お前みたいにな」
「そうなれるんだ、鍛えられたらな」
それならとうのだ。
「皆出来る様になるんだ」
「不可能と思ったことでも」
「毎日必死にやっていれば出来る」
「そういうことだな」
「ああ、あと数ヶ月で卒業だ」
三月末のその時になるというのだ。
「だから今のメンバー全員で卒業しような」
「そうしような」
「絶対にな」
「もう一年の教育期間の折り返しは過ぎた」
「それじゃあな」
「あと少し、頑張っていこうな」
菊地は同期達に言った、そして一分隊の者はここから誰一人抜けることなく卒業出来た。そして海上自衛官として赴任することが出来たのだった。辛い経験にも慣れて。
少年自衛官 完
2021・12・12
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