第二章
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土曜日の夜にだった、一分隊の何人かは菊地と一緒に江田島に多くある居酒屋に入ってそこで彼から聞いた。
ビールに枝豆それにこの島で結構よくある馬刺しを前にしながらだった、彼等は菊地に対して尋ねた。
「何で平気なんだ?」
「ここの生活や訓練に」
「アイロンがけやベッドメイク一切怒られなくて」
「整理整頓や掃除が出来ているんだ」
「どうしてなんだ」
「部内だってな」
自衛隊から試験で合格して入学した者だ、尚この場合部内とは自衛隊の中から一般幹部候補生になった者で下士官勤務を数年経てから部内の試験に合格した者もいるがこちらは部内幹部候補生となる。
「大変だってのに」
「教育隊よりずっと厳しいらしいからな」
「それで四苦八苦しているってのに」
「何でお前は平気なんだ」
「確か東海大学出身だろ」
「普通の大学じゃないか」
「ああ、俺あれなんだよ」
菊地は同じ一分隊の同期達に平然として話した。
「元々自衛隊にいたんだよ」
「えっ、そうなのか」
「元々自衛官だったのか」
「そうだったのか」
「中学卒業してな」
そうしてというのだ。
「少年自衛官になっていたんだよ」
「あそこにか」
「同じ江田島にある」
「あの学校にいたのか」
「そこに四年いてな」
そうしてというのだ。
「卒業して一旦辞めたんだ」
「そうだったのか」
「四年あそこにいたのか」
「そうだったのか」
「その時に一般社会に戻りたくなって」
菊地はビールを飲みつつ話した。
「大学に入ったんだよ」
「それで四年過ごしてか」
「卒業したのか」
「そうしてか」
「進路考えたらその時のことが忘れられなくて」
少年自衛官の頃をというのだ。
「愛着もあったしな」
「それでか」
「一般幹部候補生試験受けてか」
「今ここにいるんだな」
「そうなんだよ、戻ってきたんだな」
菊地は笑って話した。
「要するに」
「自衛隊にか」
「お前の場合はそうなんだな」
「入隊じゃなくて戻った」
「そうなるんだな」
「ああ、それで少年自衛官なんてな」
今度はこちらのことを話した。
「訓練も生活もこんなものじゃなかったんだよ」
「もっと厳しかったのか」
「ここよりもか」
「少年自衛官は厳しいのか」
「遥かにな」
そうだというのだ。
「だからなんだよ」
「それでか」
「ここの生活は平気か」
「少年自衛官と比べたら」
「そうなんだよ、だからな」
それでというのだ。
「俺はむしろ楽な位なんだよ」
「少年自衛官って凄いんだな」
「ここでの生活が楽とか」
「そんな凄いところがあるのか」
「ああ、そうなんだよ」
実際にというのだ。
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