第一章
[2]次話
二千キロの勇気
ティム=ロックしっかりとした顔立ちでライトブルーの目を持つ彼はかつてイギリス軍にいた、そして今は戦禍の中にあるウクライナの中で動物の保護活動にあたっている。
その彼は今聞いた話をした人に真剣な顔で問い返した。
「その動物園ではですか」
「はい、ライオンと狼がです」
その人はロックに答えた。
「一匹ずつです」
「取り残されていますか」
「はい、どちらも雄で」
そのライオンと狼の話も為された。
「ライオンはシンバ、狼はアケラといいます」
「そうですか」
「他の生きものは避難させられたのですが」
しかしというのだ。
「それでもです」
「彼等はですか」
「取り残されています」
「そうですか、ではです」
ロックは真剣さをさらに強くさせて答えた。
「今から我々がその動物園に行きまして」
「彼等を保護してくれますか」
「そして安全な場所まで連れて行きます」
「そうしてくれますか」
「約束します」
こう言ってだった。
ロックは二人の同僚達と共に彼等の救助にあたることにした、まずは彼等を運ぶミニバンを改造した。
「ライオンと狼だからな」
「大きいし暴れると危険だ」
「ちゃんと補強しておこう」
「そうしておこう」
まずはそうしてだった。
確かに運べる様にしてから出発した、だがその動物園に行くまでだった。
「英語が通じないな」
「ああ、ウクライナ語だけだな」
「参ったな」
「仕方ないがな」
「それでも道はわかっているしな」
「場所もだしな」
地図を観つつ話した。
「それじゃあな」
「一緒に行こうな」
「まずは動物園までな」
こう話してだった。
彼等は言葉は通じずとも地図を頼りにその動物園に向かった、動物園に着くとそこに残っていたスタッフの人達と共にだった。
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