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犬でも女の子だから
第一章

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               犬でも女の子だから
 ふわりは奇麗好きだ、それでペットサロンに行く時もだ。
「行くぞ」
「ワンワン」
 ふわりは文太に言われると尻尾を振って応えるのが常だった、そうして。
 ペットサロンまでうきうきとして向かいシャワーもシャンプーもだ。
「ふわりはむしろ喜んで受けるな」
「そうよね」
 妻の百合子も応えた。
「普通嫌がるけれど」
「ふわりの場合はな」
「トイプードルはお水好きだけれど」
「元々水鳥を捕まえる犬だしな」
「けれどね」
 それでもというのだ。
「ふわりは特にね」
「お水が好きでな」
「シャワーも浴びて」
 そうしてというのだ。
「それからな」
「シャンプーも受けるわね」
「じっとしてな」
「けれど嬉しそうに受けて」 
 シャンプーもというのだ。
「そうして奇麗になるわね」
「そうだな」
「こうした娘珍しいわよね」
「そうだな、しかしな」
「しかし?」
「女の子だからか」
 夫は妻にシャンプーをしてもらうふわりを見つつ話した、見ればじっとして泡だらけになって濡れても尻尾は振られている。
「だからか」
「女の子だから?」
「奇麗好きでな」
 それでというのだ。
「身だしなみにもだよ」
「気を使ってるの」
「そうじゃないか?」
「そう言えばふわりってお洒落かもね」 
 妻も言われて気付いた。
「リボンとかアクセサリー好きだし」
「そうだな」
「あの人達が持っていたドレスも着せたら」
 ふわりの前の飼い主達の話もした。
「嬉しそうだし」
「そうだな、服を着せてもな」
「嬉しそうよね」
「犬はああいうの着せたら嫌がりそうだがな」
「それがね」
 ふわりの場合はというのだ。
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