第二章
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「おもちゃとして遊んでいてね」
「いらないと思ったら捨てたか」
「そうなのよ」
「おもちゃだから捨てたか」
「それで上の赤ちゃんもよ」
自分達の子供もというのだ。
「ふわりがあの娘の邪魔と言って捨てて」
「それで可愛がってもか」
「下の娘が産まれたらね」
「ほったらかしにしたんだな」
「新しいおもちゃが手に入ったからね」
「本当に愛情のない連中だったんだな」
「そうよ」
息子に強い声で答えた。
「本当にね」
「それで人間もそれはか」
「最初はわからないのよ」
「経験を積んで周りを見てか」
「わかるのよ、だから犬も人間もね」
「同じか」
「そう、そして私達はね」
息子に先程よりも強い声で話した。
「あんな人達にはなりたくないでしょ」
「絶対にな」
「そう思うならね」
それならというのだ。
「ふわりに愛情をよ」
「本物のだよな」
「それを注ぐべきよ」
「大事にしてな」
「ずっとね」
ふわりがいる限りというのだ。
「そうしないと駄目よ」
「そうだよな、じゃあな」
「これからもね」
「ふわりに愛情を注ぐか」
「そうしましょう」
「そうだな、じゃあな」
洋介はあらためて言った。
「今からご飯あげるな」
「そうするのね」
「本物の愛情を注いでな」
ふわりにというのだ。
「本当の意味で幸せになってもらうよ」
「おもちゃじゃなくて家族よ、ふわりは」
「ああ、その通りだな」
洋介は母の言葉に頷いてだった。
ご飯の用意をした、するとだった。
「ワンワン」
「ふわり出て来たな」
「ワンッ」
ふわりはご飯を置いた洋介のところにケージから出て来て駆け寄った、そうしてだった。
彼に頭を撫でられてからご飯を食べた、尻尾を振りながら食べる彼女を見て洋介は彼女の信頼に応えてそのうえで彼が心から信じられる幸せをずっと与えようと誓った。
人間にもわからない 完
2022・4・25
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