第2部
スー
スー族の里
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い、と一歩前に出ると同時に、腰に提げている剣の柄に手をかける。そのときのユウリの威圧感は、目の前にいるスー族の男性に勝るとも劣らないほどであった。
「私、好戦的なやつ、嫌いじゃない。申し遅れた、私の名はジョナス。誇り高き戦士、スー族の名に懸けて、いざ、勝負!」
ジョナスの口上が終わるやいなや、ユウリは鞘から得物を抜き、構えた。そしてお互いしばらく微動だにせず、相手の動きを見計らっている。私はというと、二人の雰囲気に気圧され、ただ見守ることしかできなかった。
すると、都合よく一枚の葉っぱがひらひらと二人の間に落ちていく。それが地面に触れた途端、両者とも同時に地を蹴った。
まず先に間合いを詰めたのは、ユウリの方だ。白刃を振り下ろすが、紙一重のところでジョナスの斧に防がれる。
はじき返された反動で、大きく後ろに跳ぶユウリ。その隙に、今度はジョナスが斧を振りかぶってきた。その動きは大柄な彼の体格に反して、無駄のない俊敏さである。
だがユウリは見越していたのか、体を横にひねり、難なくかわす。すると、そのままバネのように体勢を思い切り低くしたあと、下からジョナスの顔めがけて剣を振り上げた。
「くっ!!」
ジョナスはかろうじて刃を受け止めたが、その一撃の重みに耐えきれず、数歩後退する。
さらにユウリは追い打ちをかけるように、一太刀、二の太刀と、次々に攻撃を浴びせる。攻撃を受けるたびに、ジョナスの体がじわじわと後ろに下がっていく。
そして、わずかにジョナスの腕に力が入らなくなったのを見逃さなかったユウリは瞬時に剣を持ち換え、柄の部分でその腕めがけて思い切り叩きつけた。
「ぐあぁっっ!!」
ジョナスの手から得物が離れ、地面に落ちたと同時に金属音が響く。ユウリは膝を折るジョナスを見下ろし、これ以上は戦闘にならないと悟ったのか、剣を鞘に納めた。
「勝負あり!!」
突然、見知らぬ男性の声が響いた。その声の方に振り向くと、いつのまにいたのか、数人のスー族の人たちが歓喜の声を上げながら何やら騒いでいる。その中の一人、一番年長者と思われる初老の男性が手を真上にかざしている。おそらく今叫んだのはこの人だろう。
「ジョナス。お前の負けだ。そこの旅人は、嘘をついてない」
そういうと、初老の男性はすたすたと二人の間に割って入り、いきなりユウリの腕をつかんだ。
「!?」
ユウリもまさかいきなり腕を掴まれるとは思ってなかったのだろう。警戒心を解いていたユウリはあわてて男性の手を放そうとする。だが、片手とはいえユウリの力をもってしても、男性の手が離れることはなかった。
「うむ! なんと無駄のないすばらしい筋肉!!」
どうやらユウリの腕をただ触って確かめたかったらしい。男性はすぐにユウリの腕を離した。
「失礼。わしはこの里の酋長で最年長
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